「いきなり!ステーキ」は"非常識の塊"だった 炭水化物抜きダイエットで女性も虜に

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店内は、男性客だけでなく女性客のグループも目立つ

同チェーンでは、今年だけで、あと53店舗出店する予定。合計の店舗数は現在の2倍以上になる計算だ。

そこで課題となっているのが人材教育だ。つまり、店舗拡大のペースに負けないよう、人材の確保、教育を行っていかなければサービス品質の低下につながりかねないためだ。

ステーキでは、肉をカットして焼くというシンプルな過程なだけに、シェフ一人ひとりの技術に負うところが大きい。また、接客の質も問われる。グラム単位での肉のカットの案配から始まって、焼き加減などをカウンターごしにやりとりするため、客あしらいも大切なのだ。

人材教育における試みとしては、今年3月よりステーキマイスター制度を導入しているほか、ホテルのシェフなど、リタイアしたベテラン人材を積極的に登用し、技術の維持向上を図っている。

年内にはニューヨークへ進出

「いきなり!ステーキ」の勢いはまだまだ止まらない。年内のニューヨーク出店を目指し、準備を進めているのだ。ニューヨークと言えば、ステーキの本場。「日本の味」が受けていると言っても、いわば逆輸入である同店のステーキがどこまで受け入れられるのだろうか。海外ならではの戦略はと聞くと、「例えば日本では300グラム以上を推奨していますが、アメリカでは500グラム以上にする、などの工夫は必要です。そのほか、しょうゆベースの甘めのソースや、日本でも導入して好評のわさびなど、いくつかアイディアはあります」(川野さん)とのことだ。

非常識を逆手にとったビジネスモデルで成功してきた日本の企業。ニューヨーカーたちにの度肝を抜くことができるだろうか。

圓岡 志麻 フリーライター

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まるおか しま / Shima Maruoka

1996年東京都立大学人文学部史学科を卒業。トラック・物流業界誌出版社での記者5年を経てフリーに。得意分野は健康・美容、人物、企業取材など。最近では食関連の仕事が増える一方、世の多くの女性と共通の課題に立ち向かっては挫折する日々。contact:linkedin Shima Maruoka

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