言語の覇権争い「中国とアメリカ」の戦略的な差 中国語の影響が英語を凌駕する時代はくるのか

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五味:これまでにも本を書いてきましたが、今回はまったく異なる方面から連絡が来ています。例えば、語学教育の学校とかね。英語に関する情報はすでにたくさんあるせいか、英語に関心がある人からというよりも、中国や中国語に関心がある人からの反響があります。「中国語を勉強すれば、自分の将来にプラスになるのでしょうか?」という声が多くて、この反応には正直、びっくりしました。

五味洋治/1958年7月26日長野県茅野市生まれ。1982年早大第一文学部卒。1983年東京新聞(中日新聞東京本社)入社、川崎支局、社会部、政治部(官邸、野党担当)を経て1997年、韓国延世大学語学留学。1999~2002年ソウル支局、2003~2006年中国総局勤務。主に朝鮮半島問題取材。2008~2009年、フルブライト交換留学生としてアメリカ・ジョージタウン大に客員研究員として在籍。現在中日新聞東京本社(東京新聞)論説委員(写真:横田紋子)

一方、ジャーナリスト仲間からは「面白い視点で米中関係を書いたね」とか「こういう捉え方もできるんだね」と言われます。やはり言葉という要素は大きいし、今の世界の動きを把握しようと思ったら、言葉を学ぶことは絶対に必要ですからね。

最近ではAIが言語の壁をなくすという話も耳にしますけど、そういう時代だからこそ、自分の言葉で相手に語りかけて、コミュニケーションを取ることが大切になってくると思うんですよね。

例えば、中国では昔、同じ共産主義国家の言葉としてロシア語が大流行して、多くの中国人がロシア語を学んでいました。ところが、アメリカと外交関係を結んでから、急激に英語が人気になった。そして今、情勢がまた変わってきて、再びロシア語が大人気になっているという話があるんです。

こういう現象を見ても、言語の重要性がわかるし、世界の動きを読むためには、外国語学習が大切なことも理解できる。自分の将来のための大きな武器になるのも間違いないですしね。事実、日本国内で仕事するにしても、1つか2つの外国語能力を求められるケースが珍しくなくなりつつある。

これからの学生には英語だけではなく中国語も学んでほしいと、ある有名中高一貫校の校長先生が仰っている記事を読んだこともあります。

アジアの言語を勉強しないのはもったいない

上乃:私が大学時代に教わったハンガリー人の言語学者の教授は、「日本人は皆英語を勉強しているけど、アジア人なんだから、アジアの言語を勉強しなかったら、もったいないですよ」って、いつも言っていたのを覚えています。

その先生は、7カ国語ぐらい話せる人でした。そこまでは言わないけど、やっぱり英語プラス1という考え方は必要かなと思います。

五味:その先生の言うとおりです。例えば、韓国語は日本語と文法が似ているので、日本人は短期間勉強するだけでかなり高いレベルにまで到達できますよね。事実、私自身も比較的短期間で韓国語が使えるようになりました。これは何も私に限った話ではなく、ほとんどの日本人に当てはまります。

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