日本に多い「外国人お断り物件」根底にある大問題 「貸さない大家」の意識変える不動産屋の存在
日本では「住宅差別」は合法だ。
正確には、実質的な合法状態になっている。
日本は1996年に「あらゆる形態の人種差別撤廃に関する国際条約(ICERD)」に署名したものの、人種や国籍に基づく賃貸契約拒否の問題に対処する国内法は制定されていない。そのため、差別の抜け道が存在するのだ。
約4割の外国人が入居を拒否された経験
札幌シティ法律事務所の片岡淳平弁護士は「外国人が不当な扱いを受けるケースは多いが、裁判になったケースはそれほど多くはありません」と話す。
「とはいえ、合理的な理由なく外国人への賃貸を拒否し、それが訴訟に発展して、損害賠償を命じられた判例はあります。裁判所は、外国人に対する賃貸拒否のすべてを違法とするのではなく、関連するさまざまな事実を考慮した上で、法的に認められないかどうかを判断するのが通常です」
つまり、ケースバイケースということになるが、外国人にとっての家の探しやすさは地域によるところも大きい。例えば、東京のように外国人が多い地域では、東京都が不動産業者に対して、国籍を理由に賃貸を拒否することは差別にあたるという啓発を行っている。
また、韓国人や中国人が多く住む川崎市では、「何人も、正当な合理的理由なく、高齢者、障がい者、外国人等であることを理由に、市内の民間賃貸住宅への入居を制限されることはない」という条例を制定している。
それでも、2016年に法務省が委託した調査によると、39.8%の外国人が、外国人であることを理由に入居を拒否され、26.8%が外国人を「外国人お断り」と公然と拒否する物件に遭遇し、実際に住居を探すのを諦めたという。「外国人であることを理由に断られた」国籍で最も多かったのがタイ(53.1%)で、これに中国(51.0%)、朝鮮(50.0%)と続いた。
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