日本に多い「外国人お断り物件」根底にある大問題 「貸さない大家」の意識変える不動産屋の存在

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こういった状況の中で、最近、東京・八王子にあるセンチュリー21系列の不動産業者「グローバルコーエイ(GLOBAL KOEI)」の前を偶然通りかかったとき、店先でほぼ逆のことを書いた看板に遭遇した私の驚きを想像してみてほしい。

同店のスタッフは英語(韓国語、中国語、フランス語なども)を話すだけでなく、看板にはこう書かれていたのだ。「We are actively fighting with discrimination in Japan! (私たちは日本に存在する差別と積極的に闘っています!)」

国際部門がある不動産屋

グローバルコーエイの国際不動産部のコンサルタントであるマザン・ジョアンナ氏は、同社の差別撤廃の取り組みについてこう語る。

「私たちの会社は、2021年3月に国際部門を開設しました。CEOの齋藤祥文は、住宅業界における差別の存在を以前から知っていたので、その影響を受ける人々、障がいのある人や高齢者、外国人のために何かしたいと考えたのです」

齋藤氏が国際部門を開設した当初は、所属していたのは台湾人と日本人のハーフであるマネージャーの根津朗代氏1人だったが、2021年11月にマザン氏が採用された。この時、私の目を引いたあの看板が誕生したのだ。

「私が入社して数カ月後、根津さんに『ここのスタッフは英語が話せます、外国人も歓迎します、という大きな字の、大きな看板を作りましょう。そしてそこには、不動産差別と戦っていることも書いてください』と提案したんです」と、フランス・ヴェスール出身のマザン氏は話す。

実際、私の友人や同僚にも残念ながら差別的な経験をしたことがある人は少なくない。中には複数回経験した人もいる。しかし、このような行為が容認され、法的救済がないことを知った人たちは、「ガイジン・タックス」、つまり日本人でない者が日本に住むことの代償として、それを受け入れてしまうのである。

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