言語の覇権争い「中国とアメリカ」の戦略的な差 中国語の影響が英語を凌駕する時代はくるのか
上乃:先ほども触れていましたが、米中関係の冷え込みもあって、アメリカでの中国語熱はいっときに比べたら下がっているんでしょうか?
ザッカーバーグは中国語を話せる
五味:中国への警戒感が高くなっていますから、やはり下がっているようですね。ただ、中国を有力なマーケットとして見ている人たちは勉強し続けています。例えば、フェイスブックの創業者マーク・ザッカーバーグの奥さんはベトナム華僑出身なので、家庭では中国語を交えて会話を交わしていると言います。彼は以前、北京の清華大学から招かれ、中国語で講演を行ったことがあるくらいです。
日本人に向けて、中国語学習の大切さを訴えている著名人もいます。世界的投資家として日本でもよく知られるジム・ロジャーズもその1人で、最近の著書で「特に日本人は中国語を勉強したほうがいい」と主張しています。さらには、ベトナム語も学んだほうがいいと言っていますね。
その理由はいたって単純で、日本国内に中国人とベトナム人がいっぱいいるからだそうです。「中国人やベトナム人としっかりコミュニケーションできないと彼らの能力を十分に引き出せない」というのがその発言の根拠となっています。
「日本にいるんだから、日本語を話せ!」
こう主張する人もいますけど、頭ごなしに彼らを日本の枠にはめ込もうとすると、相手から敬遠されてしまいかねません。日本では、海外から働きに来る人や移民を嫌う傾向が根強く存在しますが、実際のところ、日本国内での働き手不足や少子化はかなり深刻で、外国人の存在なくては社会が成り立たなくなりつつありますよね。
私の専門である韓国の少子化問題を見ると、そこは非常にわかりやすい。今韓国では、大学が次々と閉校になっているんです。都市部では小学校がなくなりつつある。実際に日本でも、似たような現象が起こり始めています。
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