今も残る疑問、制定3年「香川ゲーム条例」のその後 「平日1日60分」の目安設定、なぜゲームが狙われた?
山下記者は後に、知人に頼まれて賛成意見をパブコメに送ってしまったという香川県内の女性に取材している。女性は次のように語ったという。
「自分のはっきりした意見があったら後悔していないんですけど、あの時はもう『頼まれたから反対は書けない』というプレッシャーを感じた状態で(パブコメを)送ったので、後悔しています」
全国初の条例施行から3年。県は依存症対策に年間約1000万円の予算を投じているが、その成果や課題が議会で議論されることはほとんどなく、独自の取り組みを全国に向けて発信する姿勢も見られない、と山下記者は言う。
漠たる社会不安に入り込む
香川県議会でゲーム条例の推進役だった議員は、科学的な根拠がないにもかかわらず、「ゲームは脳の前頭葉を壊す」と繰り返し、「ゲーム脳」がいかに有害であるかを力説していたという。
それにしても、なぜゲームやスマホが狙われたのか。
「誰もが不安に感じていることを取り上げ、法的に何らかの“規制”を加えて成果を誇る。議員としての成果を示すには、最もやりやすい方法だったのでしょう。『うちの子はゲームやスマホの使いすぎではないか』という不安は親なら誰もが持っている。そこに、科学的根拠のない法令が入り込んだわけです。漠たる社会不安は、もちろん、ゲームやスマホに限りません」(山下記者)
議論の過程を秘密とし、世論の作為を背景としつつ、ゲーム条例は生まれた。少しでも監視を怠れば、同じようなことは他の地方公共団体でも国でも、簡単に起きるだろうと山下記者は感じている。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら