今も残る疑問、制定3年「香川ゲーム条例」のその後 「平日1日60分」の目安設定、なぜゲームが狙われた?
ゲーム条例は議員提案の条例であり、推進したのは2019年春に発足した県議会の議員連盟だった。香川県の最大メディア・四国新聞は同じ年の1月からキャンペーン『ほっとけない「ゲーム依存」』を開始しており、その報道に触発されての議連発足だったともいえる。
ところが、条例案をつくる議会の検討委員会は一部が非公開。しかも、議事録も作成されていなかった。
「議員提案で条例を作ろうとしているのに、密室で進めてしまったわけです。議事録もないから、条例案の策定プロセスを後から検証することもできない。近年は、国レベルで公文書の未作成が大問題になっていますが、地方でも同様のことが起きていたわけです」(山下記者)
寄せられたパブリックコメントの「異様」
パブリックコメントの“水増し”も大問題になった。条例案の採決前に香川県議会が募集したパブコメに寄せられた意見は、計2686件。そのうち、賛成は2269件、実に84.5%に達した。
「香川県では普段、パブコメを募集しても数件程度しか集まりません。それなのに2000件を超す意見が集まり、8割以上が賛成。異様で、強い違和感がありました」(山下記者)
山下記者が情報公開請求によって意見の原本を入手したところ、異様さはさらに増した。パブコメの提出方法として案内していなかった県議会HPの「ご意見箱」を使って、数分置きに同じ文面の回答が次々投稿されていたことが判明したのである。
「ネット・ゲーム依存症対策条例が通る事により、皆の意識が高まればいいと思うので賛同します」という同一文面は176件もあった。
「条例通過により、明るい未来を期待して賛成します」が142件、「ネット、ゲームが子供達に与える影響様々ですので、賛同します」が137件……。同一文面の中には、明らかな誤字も繰り返し見つかった。「依存症」を「依存層」、「ご感想」を「ご感て想」、「ネットゲーム」を「ゲットゲーム」などである。
しかし、県議会はパブコメの結果、県民の多くが条例に賛同しているとして、反対意見を押しのけるように採決に踏み切り、条例を成立させた。
「同じ人物が機械的に作業を繰り返した結果でしょう。条例を推進したい何人かの人物が組織的に実行した疑いもあります。パブコメは本来、議会や行政が持ちえていない視点を市民に提供してもらい、政策や立法に生かす目的です。賛否の数を競うものではありません。しかし、ゲーム条例は強引に成立を図ろうとしたため、こうしたことが起きたのでしょう」(山下記者)
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