ヤマダにジョイホン…「スマートIC」の誘致力 スマートICが街づくりの起爆剤となるワケ

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クルマ社会の群馬県では、スマートICに限らず、北関東道の「前橋南IC」の周辺に巨大なパワーモールが集中していたり(このエリアには今年4月ユニクロのまったく新しい業態の店舗もオープン)、おなじく今年4月に東北道「館林IC」に近い明和町に、アメリカ発の大型会員制倉庫型チェーンであるコストコの県内2店舗目が開業するなど、高速道路のネットワークによる広い商圏を意識した店舗が目白押しだが、スマートICはその流れをさらに押し広げつつあると言えよう。

関東以外でもその傾向は変わらない。2019年に供用を開始した東名高速道路の「日本平久能山スマートIC(静岡市)」でも、周囲の土地に「健康・スポーツ」「食と農」の集客施設を予定しているなど、静岡市内で数少ない開発可能な平地であることから、スマートICが新たな未来型の集客施設や物流施設の好適立地となっているのである。

2021年3月には東名高速「綾瀬スマートIC」もオープンしている(筆者撮影)

筆者はまだジョイホンパーク吉岡店に開業以後、足を運んでいないが、利用客によるSNSの発信を見ると、「お店は混んでたけど、駐車場がたくさんあってすぐ停められた」「フロアがメチャクチャ広くて半日では全部見て回れなかった」「伊香保グリーン牧場のソフト、まぁ買うよね」など、店舗の広さや充実ぶりを発信する声が目立った。

保護猫譲渡施設「犬猫タウン吉岡 にゃんこシェルター」が常設されていることや、ペットコーナーでは珍しい爬虫類のラインナップに驚く声も交じっており、今までにはない楽しみを提供している雰囲気が伝わってくる。

スマートICはまだまだ増える

スマートICには、三重県多気町で2021年に開業した日本最大級の商業施設「ヴィソン」に直結する、その名も「多気ヴィソンスマートIC」や、東名高速道路に初めて本線直結型のスマートICとして誕生した「大井川焼津藤枝スマートIC」という3つの地名を羅列した珍しい名称を持つものも多い。

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従来の「厚木IC」や「彦根IC」といったその自治体を代表し、その名のみを冠した王道のICにはなかった特徴を持つものもあり、高速道路のドライブをこれまで以上に彩ってくれている。

今後も計画中のスマートICが次々と供用を開始する予定で、新たな地域の核となっていくところもさらに出てくることが予想されるから、大いに楽しみだ。

佐滝 剛弘 城西国際大学教授

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さたき よしひろ / Yoshihiro Sataki

1960年愛知県生まれ。東京大学教養学部教養学科(人文地理)卒業。NHK勤務を経て、NPO産業観光学習館専務理事、京都光華女子大学キャリア形成学部教授、リベラルアーツ・ジャーナリスト。『旅する前の「世界遺産」』(文春新書)、『郵便局を訪ねて1万局』(光文社新書)、『日本のシルクロード――富岡製糸場と絹産業遺産群』(中公新書ラクレ)など。2019年7月に『観光公害』(祥伝社新書)を上梓。

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