部下に「失敗してもOK」という上司が無責任な理由 管理職が意識すべき「良い失敗」「悪い失敗」
失敗を恐れる理由として、失敗を「成功の反対」と捉える傾向があると思います。「失敗はしてはいけないものだ」という認識がそもそもあるのです。
しかし、失敗は、成功の反対ではありません。失敗は成功までのプロセスの過程にあるもので、「実践からのフィードバック」なのです。失敗した人でないと得られない知見や経験もあるのです。
だから失敗はダメなものではないし、「失敗はフィードバックである」と考えれば、それほど失敗を恐れずにチャレンジできるのではないでしょうか。成功した者は、成功するまで失敗を継続できた人とも言えるでしょう。
時には強引に突き飛ばすのもアリ
僕の場合、スキルや可能性を伸ばすために、優秀なスタッフにはちょっとした試練を与えることもあります。
弊社スタッフのYさんは、大学院を修了後、興味のあるファシリテーションやコーチングを僕から学びたいという理由で入社してきました。
ある会社の研修プログラムで、Yさんは僕のアシスタントを務めていました。そこで僕は、打ち合わせになかった行動に出ました。「このパートはYさん、お願いします」と言って、壇上から降りたのです。
急に講師のバトンを渡されて、Yさんはすごく驚いていました。緊張や困惑、怖さもあったでしょう。一時的に心理的安全性が低下した状態だったかもしれません。
一方で、そのプログラムを構成したのはYさん自身ですから、内容はしっかり頭に入っているはずです。Yさんにはウィルもあり、スキルもある。「きっと大丈夫」という僕の目算どおり、彼女は20分ほどのパートを見事にやり遂げました。
研修が終わって緊張がほぐれると、Yさんは感情を爆発させて僕に訴えました。
「ピョーさん、ひどいですよ。私はあなたのアシスタントであって、講師役は私の仕事ではありません」
「わかった。けれども、Yさんが入社するとき、『私はファシリテーションを学んで、トレーナーになりたい』と言ったよね」
一瞬、シーンとなって、
「はい、言いました」
「だったら、学びましょう」
それでYさんの気持ちは収まったようでした。
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