「昼顔」から9年、「あなして」が注目を集める必然 なぜ今、セックスレスドラマが量産されるのか
ではなぜ「あなたがしてくれなくても」は大規模なPRが行われ、多くの人々の目にふれるプライムタイムで放送されているのでしょうか。それを追求していくと、セックスレスや不倫に対する人々と作り手の変化が浮かび上がってきます。
日本人夫婦の約半数が該当
もともとセックスレスは夫婦にまつわる悩みの中でも、「友人や家族にすら話せない」という深刻なケースが多いもの。当事者はあまり口にしないし、当事者以外は誰かの話も聞かない。
しかし、その一方で「日本人夫婦の5~6割程度が該当する」というデータが複数あるなど、「セックスレスは誰にでも当てはまる身近なもの」と言われるようになっているのも事実。加えて、男女を問わず「レス」というフレーズでSNSに書き込めるような時代の変化も感じさせられます。その意味で「あなたがしてくれなくても」が反響を集めているのは、各話のエピソードにリアリティを感じるところがあるからでしょう。
なかでも、主人公の吉野みち(奈緒)と夫・陽一(永山瑛太)、新名誠(岩田剛典)と妻・楓(田中みな実)のセリフやモノローグ(独白)は、「共感できる」というツイートが相次いでいます。たとえば5月11日放送の第5話でも、視聴者の共感を誘うシーンがいくつかありました(以下、ストーリーのネタバレがあります)。
誠から「じゃあ何でずっとセックスを拒むの?」と聞かれた楓は「それは前にも言ったけど、今じゃないの。今それどころじゃなくて」と返事。さらに誠が「じゃあいつになったらいいの?1年後?2年後?俺たち夫婦の時間すらまともに作れてない」と続けると楓は「私のこと嫌いになった?もう好きじゃない?」と尋ねました。しかし、誠の返事は「わからない……」。
その後、誠の心が離れはじめていると感じた楓は珍しく早めに帰って家事をしますが、ここで誠の「楓が頑張ってくれればくれるほど、『今さらなんなんだ』と腹を立ててしまう」、楓の「誠、目も合わせてくれなかった」というモノローグが流れました。
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