コメ消費減っているのに「パックご飯」売れるなぜ 非常食から日常食に移り変わっている

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購入理由で最も多いのが「ご飯をすぐに食べることができるから」で、56.8%いることからも裏づけられる。次が「長期保存できるから」で50.5%だが、他にも価格が手頃、おいしい、ご飯を炊いても余る、家族が利用しているなどが挙げられている。非常用の需要も根強くあるが、日常の食事として採り入れる人が増えていることがわかる。

コロナ禍がきっかけで購入量が増えた人の割合は、約3割。直近の伸びは、コロナで在宅時に買う、り患したときに食べるなどした人が食べて気に入ったことが大きそうだ。

「おいしくなった」「思ったよりおいしい」という声はよく聞く。先の調査でも、16.1%がおいしいまたはおいしくなったことを、購入理由として挙げていた。しかし中川氏に聞くと、実はパックご飯の発売当初から、大きくは製法を変えてはいない。変わったのは顧客層である。中川氏の話と『日本包装学会誌Vol.20 No.5』(2011年)などをもとに、パックご飯の歴史をひも解いてみよう。

電子レンジの普及が後押しした

加工米飯自体は、缶詰やチルド米飯に加えて、1972年に冷凍米飯、翌年にレトルト赤飯、1975年にレトルト白飯が発売されていが、品質的には低かった。1985年にハウス食品が電子レンジ対応の初の加工食品、レンジグルメシリーズを出した中に、赤飯などのレトルト米飯も登場し、電子レンジ対応食品ブームになった。

家庭用の電子レンジは1965年に登場したが、長らく需要が低迷し、冷蔵庫やテレビは1970年代前半に普及率が9割を超えていたのに、電子レンジは1割前後。1984年に4割を、1997年にようやく9割を超えた。それは、電子レンジ対応食品の登場が大きい。そして、パックご飯の誕生もその1つとみられる。中川氏も「電子レンジの普及率との相関関係はあります」と話す。

サトウ食品が、無菌包装米飯という画期的な技術でパックご飯市場を切り開いたのは1988年。「当時の社長が、これからは共働き時代で、主婦が調理にかける時間が減るだろう、と予測して発売しました」(中川氏)。しかし、実は時代が早過ぎ、20年以上もなかなか売れ行きが伸びない時代が続いたのだという。

当初は、「ご飯に困るのは単身者や学生と考え、最初はコンビニで販売させてもらったのですが、そういう方はご飯とおかず、ではなくより簡便なカップラーメンなどを求めることが分かりました。一方でこの頃はまだ専業主婦も多い時代でしたので、ご家族が同居されている主婦の方が、1人での昼ご飯用に購入する機会が多かったようです」と中川氏。

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