スープストック「離乳食炎上」への対応が秀逸な訳 変化を迫られる企業の切実な事情も見えてきた
だが、今回のスープストックトーキョーの声明には、こうした謝罪のニュアンスはまったく含まれていない。何も悪いことをしていないのだから当然ではあるのだが、その「当然」を実際に行える企業は案外、少ないものなのだ。
誰も切り捨てず「火に油を注ぐ」事態も避けている
今回の声明でもうひとつ素晴らしかったのは、「企業理念」と「過去の取り組み」を併せて述べているところだ。
さまざまな理由で食べることへの制約があったり、自由な食事がままならないという方々の助けになれればと「Soup for all!」という食のバリアフリーの取り組みを推進しています。
このように自社の企業理念を記載しているのだが、これだけでは抽象的すぎて漠然とした印象となってしまう。この企業理念の説明の後には、以下の記載が続く。
これまでの取り組みでは、
・グルテンフリーや、ベジタリアン対応スープの販売
・ハラル商品の開発(現在は終売しています)
・咀嚼が困難な方にも外食時のサポートができるよう、咀嚼配慮食サービスの開始
・コロナ禍での医療従事者への食事の無償提供
などを行ってきました。
・グルテンフリーや、ベジタリアン対応スープの販売
・ハラル商品の開発(現在は終売しています)
・咀嚼が困難な方にも外食時のサポートができるよう、咀嚼配慮食サービスの開始
・コロナ禍での医療従事者への食事の無償提供
などを行ってきました。
企業理念の実現のために「口だけではなく、実際に行動してきた」ことを列挙しているのだ。「抽象的」な理念と「具体的な」行動を併せて記載するのは、文章全体に説得力を持たせるための基本技術でもある。
今回の声明が秀逸だった3つ目は「誰も切り捨てていない」という点である。声明の終盤に、以下の記述がある。
私たちは、お客様を年齢や性別、お子さま連れかどうかで区別をし、ある特定のお客様だけを優遇するような考えはありません。
私たちは、私たちのスープやサービスに価値を見出していただけるすべての方々の体温をあげていきたいと心から願っています。皆さまからのご意見を受け止めつつ、これからも変わらずひとりひとりのお客様を大切にしていきます。
私たちは、私たちのスープやサービスに価値を見出していただけるすべての方々の体温をあげていきたいと心から願っています。皆さまからのご意見を受け止めつつ、これからも変わらずひとりひとりのお客様を大切にしていきます。
批判者を切り捨てないことで、怒りに対し「火に油を注ぐ」事態を避けてもいるのだ。
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