「国策半導体」ラピダス、2ナノ量産までの道筋 社長の発言から見えてきた2027年への布石

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

また、最先端半導体の露光技術の開発では、ベルギーに本拠地を置く研究機関「imec(アイメック)」と連携する。imecは、最先端半導体を製造するのに欠かせないEUV(極端紫外線)露光装置を唯一手がけるオランダのASMLと共同で研究所を運営するなどしている。

自信みせる小池社長に思わぬ「横やり」

懸念されていた人材採用についても、「毎日のように世界中からすごい数の応募がある」と小池社長は話す。

最先端半導体の製造に携わる人材は、世界中で獲得競争が激しくなっている。人材獲得は懸念事項の1つと見られていたが、蓋を開けてみれば50代のエンジニアを中心に採用は順調だという。そのような状況も、小池社長の自信につながっているようだ。

ただ、足元では思わぬ横やりが入る事態が起きた。アメリカの半導体受託製造大手・グローバルファウンドリーズ(GF)がIBMを提訴したのだ。

その内容は、IBMがGFの知的財産や企業秘密をラピダスへ違法に開示している、というもの。さらに、IBMとラピダスの提携以降、GFのエンジニアに対する「違法な採用活動」が加速しているとも主張している。

GFは最先端半導体の開発からは手を引いているが、2015年にIBMの半導体製造部門を買収した経緯がある。ラピダスは「当事者ではないのでコメントする立場にない」とするが、訴訟の行方によっては技術面・人材面ともに思わぬ影響を受けかねない。

小池社長自身、「ものすごくタイトなスケジュール」と評するロードマップ。工場建設から量産開始までには5兆円規模の投資がいるとも言われ、さらなる投融資を呼び込む必要がある。2027年に向けて完走することができるのか。その背に担った国産化の期待と責任は重い。

石阪 友貴 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

いしざか ともき / Tomoki Ishizaka

早稲田大学政治経済学部卒。2017年に東洋経済新報社入社。食品・飲料業界を担当しジャパニーズウイスキー、加熱式たばこなどを取材。2019年から製薬業界をカバーし「コロナ医療」「製薬大リストラ」「医療テックベンチャー」などの特集を担当。現在は半導体業界を取材中。バイクとボートレース 、深夜ラジオが好き。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事