帝国ホテルが「悲願の京都」に開業する深い意味 東京本館の建て替えや30年ぶり新館で狙う客層

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国内勢のホテルとして、外資系のホテルにはない雰囲気やサービスを提供したい。そういった意味で、(イベントを共同開催するなど)地元の皆様との連携も大事になってくる。

この京都の新拠点は「短い期間で稼いで終わり」ということではなく、50年、100年と続くホテルをしっかり手がけていきたいと考えている。規模を大きくせず、少ない客室で、ひとつひとつのサービスのグレードを上げていく。

――京都開業後のグループ内連携策を教えてください。

さだやす・ひでや/1961年生まれ。1984年学習院大学経済学部卒業、帝国ホテル入社。宴会部などを経て2009年に帝国ホテル東京総支配人に就任。2013年から現職(撮影:梅谷秀司)

当社にとって、京都にホテルを造る意味は大きい。例えば、海外のお客様が日本に来るときに東京から入って、西に移動して大阪から帰るケースがあるとする。この場合、ひと昔前は帝国ホテル東京に泊まって、京都駅前の他社のホテルに泊まることが多かった。

3年後に京都に拠点ができるとなると、お客さまは私どものサービスを京都でも受けられる。帝国ホテルは大阪(大阪市)にも、上高地(長野県松本市)にも拠点がある。

さらに、帝国ホテル東京の隣接地で再開発計画があり、2029年度に完成するその建物の高層部では、私どもがNTT都市開発とともに100室規模のスモールラグジュアリーホテルを開業する。

長年の経験とノウハウを結集させた、ハイエンドの富裕層のお客さまを意識したホテルになる。外資系のラグジュアリーホテルの上に位置するようなホテルにしようかと考えている。

京都にホテルができる段階でわれわれのブランドを世界にどうアピールしていくかは、いま学習しているところだ。外国のお客様も国内のお客様も、日本にある帝国ブランドのホテルを回遊してもらえるようにしていきたい。

「拡大戦略をとることはない」

――現在の競争環境をどう捉えていますか。

競争環境は、大変厳しい。デベロッパーは高層ビルを建設し、そこにホテルを誘致することで収益を上げることができる。この流れは、しばらく続くだろう。これ以上に外資系ホテルが増えることは勘弁してもらいたい側面もあるが、一方で東京のブランド価値が上がることは歓迎だ。

当社は今後も、拡大戦略をとることはない。数を増やしていこうという考えは基本的にはない。「数を増やすとブランドの希釈につながる」という意見もある。NTT都市開発との共同開発ホテルも含めると、帝国グループは6拠点を持つことになるので、この6拠点を活用してどう安定成長していくかが、これからの勝負になる。

星出 遼平 東洋経済 記者

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ほしで・りょうへい / Ryohei Hoshide

ホテル・航空・旅行代理店など観光業界の記者。日用品・化粧品・ドラッグストア・薬局の取材を経て、現担当に。最近の趣味はマラソンと都内ホテルのレストランを巡ること。

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梅咲 恵司 東洋経済 記者

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うめさき けいじ / Keiji Umesaki

ゼネコン・建設業界を担当。過去に小売り、不動産、精密業界などを担当。『週刊東洋経済』臨時増刊号「名古屋臨増2017年版」編集長。著書に『百貨店・デパート興亡史』(イースト・プレス)。

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