アメリカンスナイパーの主演などで知られるブラッドリー・クーパーは、最近ブロードウェイの舞台で「エレファントマン」を演じ、その迫真の演技から実力派俳優の名を一気に高めたが、舞台の前に1時間、ゆっくりと全身を使ったボイストレーニングでじっくり声を磨き上げたという。獣の容姿を持った悲しい人間のすさまじい雄たけびは、こうしたトレーニング抜きではなしえなかっただろう。
皆さんも、プレゼンやスピーチ、人前で話す前に、ほんの10分でも、こうした準備運動を取り入れてみてはいかがだろうか。まさに、アスリートと同じ発想。ウォームアップなしでいきなり本番に臨むことなどできないのだ。
「花瓶」と「歯磨き粉」の呼吸法とは
皆さんは声を出すときに、自分の呼吸のことを考えたことはあるだろうか。実は声と呼吸は表裏一体の関係にある。声は吐く息に乗って、出されるもの。これは誰もが知っていそうで、普段あまり、意識しない事実だ。息を吸いながら、声を出そうとしてもなかなかできない。
つまり、深くたっぷりとした吐く息に乗せることで、声は圧倒的にパワーアップするということだ。その深い息を生むのは、皆さんご存知の「腹式呼吸」だが、今回はブロードウェイ式の腹式呼吸法を伝授しよう。この腹式呼吸、実は医学界でも非常に健康効果が高いことで知られている。
胃腸を丈夫にし、頭痛や体の痛み、不安を解消し、免疫を高めるなどなど、いいこと尽くしなのだ。ぜひ新たな健康法として、毎日の生活の中に取り入れていただきたい呼吸法でもある。
以下の3ステップで試してみよう。
実際には肺の下にある横隔膜を上下させるのだが、上記のステップをイメージするとわかりやすい。
さて、最後の声の鍛え方だ。京都が大好きな筆者は、出張にかこつけては、寺巡りをしたが、街中で見かける修行僧の読経の声の力強さに強く印象付けられた。声明(しょうみょう)と言われる、僧侶たちのお経の“合唱”のようなものがあるが、その圧倒的な迫力にも魅了された。
お腹の底から湧きだすような声、これが、低く響き渡る声の典型といえるだろう。おすすめの練習法は、吐く息に合わせて、ハミングを繰り返すこと。この時、のどから音を絞り出すのではなく、息がまるで胸の中で共鳴し、それがのどを通って、出ていくイメージを持つといい。起きたてのベッドの中でも、シャワーの中でも、簡単にできる練習だ。
2週間のボイスブートキャンプはまさに目からうろこの連続。「声はその人そのもの」というソレル氏の言葉通り、自信のない自分を自信のない声に閉じ込めていたのかもしれない。その声の殻を破ることにより、閉じ込めていた自分を解放し、もっと自由に自分が表現できるようになった(気がする)。皆さんも声を変えて、新しい自分を発見してはどうだろう。
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