【GWの家メシ】家族と食べる「最高の角煮」作り方 ちょっとした工夫で専門店の味を再現しました

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角煮はコラーゲンという物質を変性させないと絶妙なトロトロ感は生まれません。70℃ 以上になるとコラーゲンがゼラチンに変化します。しかし、ここで問題があります。アクチンはなるべく66℃以上にしたくないということ。この矛盾をどう乗り切るか。

ということで、折衷案でいきましょう。

最初に沸騰する直前まで強火にかけ、90℃くらいの温度になったら弱火にして、長時間火を入れていきます。こうすることで、肉の中にゆっくり火が入ります。水分は抜けきらず、肉の食感は残しながらも繊維はほぐれ、脂身はトロトロ。幸せな結末が待っているのです。

角煮の原点といわれる中国料理のトンポーローは蒸して作るのが本場のレシピなのですが、蒸すという調理は、熱伝導率が低いため、煮崩れも少なく、栄養流出も少ないといわれています。長時間蒸せる蒸し器を持っていれば試してみてもよいでしょう。

角煮には圧力鍋がいいという説もありますが、こちらも賛否あります。鍋の中の気圧が上がることで、沸点を上げるのが圧力鍋の仕組みです。たしかに120℃まで温度が上がれば細胞は破壊されやわらかくなります。しかし、絶妙のトロトロ食感は作れない。赤身がパサついた角煮に仕上がりやすいんです。つまり圧力鍋は使い方次第ということなのです。

料理は「水」で変わる

角煮を作る際の水について考えてみます。

角煮に水? 水道をひねれば飲料水が出てくる日本では、そもそも水を選ぶという概念が希薄です。しかし、私たちが何げなく手にするミネラルウォーターを飲んだ時に感じる違和感。ここに硬度が関わっていることも多いのです。

硬水とは水1リットルあたりのカルシウムやマグネシウムの含有量が多い水を指します。

硬水には大きなメリットがあって、硬水に含まれるカルシウムが肉を硬くする成分と結びつき、アクとなって排出してくれるのです。

その昔、沖縄でラフテーを食べた時に本当においしくて、必死にレシピを調べたんです。でも、どれだけ試行錯誤しても、材料を試しても、どうやったって現地で食べたあの味にはならなかったんです。おいしいラフテーを作るという野望は暗礁に乗り上げたのですが、ある時はたと気がついたんです。もしかしたら水ではないか。

地域によってかなり違うそうですが、やはり沖縄は硬水でした。だからおいしく豚肉を食べられる文化が発達したのかと。
 

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