日中の懸案?実は「尖閣」は緊迫していない

警戒すべきは民間活動家の暴発が起こること

2013年8月、右翼団体が尖閣諸島に接近した。海保が監視を行い、トラブルはなかった(写真:AP/アフロ)

意外かもしれないが、現在、尖閣諸島周辺の海域は緊迫していない。日中領土問題の焦点であり、両国公船が睨み合っているのは事実であり、双方は相手による領海内での行動を非難しているが、これはあらかじめシナリオが決められたプロレスのようなものにすぎない。

日中には「現状維持」という暗黙のルールがある。両国は実効支配の積み増しをしないこと、政府公船のみを用いることといったルールだ。これは2010年の漁民逮捕と、2012年の日本側による国有化での騒動以降に自然形成され、今日に至っている。最近では両国は海上連絡メカニズムでの促進合意にも至っている。海保の例ではないが、今年1月には中谷元防衛相が日中で早期運用で合意した旨を明らかにしている。

日中は双方とも相手を勝たせない力をもっており、互いの実力行使を無意味とする。相手国の対抗策や報復により泥沼化し消耗するだけの結果に終わる。政府同士はその点を熟知している。口先では自国領域であると主張して言い争うが、実際には手は出さない。尖閣問題での事態拡大は行わず、現状維持にとどめている。

むしろ危険は民間活動家にある。日中他の尖閣活動家は政府間のルールに縛られず、自国政府が弱腰であると非難するために上陸や領海内での漁労を試みる。これは事態を不安定にする要因である。なぜなのか、詳細をみていこう。

泥沼化に陥らないために安定している

まず両政府が緊迫していない背景をみておこう。大前提は、日中が「相手に勝たせない」だけの力を持っていることだ。このため尖閣における実効支配の積み上げは双方にとって効果を挙げられず、互いに損耗し現実利益を失う悪手となっている。結果両国は暗黙の合意でそれを禁じ、現状維持に留めている。

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