鈴木亮平「40代、あえて新しい事に挑戦する理由」 夢を諦めなかった原動力、失敗は"未来への投資"

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「こんな技があるのに練習不足で技が出せなくて負けたら嫌ですよね。それってプロだからどうとかじゃなくて、好きだからっていうシンプルな行動だと思うんです。それに僕は何かを創造できるような天才タイプではない。だからこそ、本番で結果を残して信頼を得ようと、できる限りの準備をして臨みたいと思っています」

「悪いことや失敗は、“未来への投資”だと思っている」

鈴木は、中学生のときに映画の世界に魅了され、俳優になりたくて兵庫から東京の大学に進学を決めた。在学中は、学内の劇団の活動にのめりこみ、舞台に魅了された。初めて舞台に立った瞬間、その難しさに圧倒され、心の底から「お芝居を一生の仕事にしたい」と心に誓ったという。

そんな鈴木だったが、芸能界の門をたたいても、入り口は厳重に閉ざされていた。芸能事務所・制作会社にプロフィール用紙を持って回ったが、50社以上に断られる。それでも自分の夢を諦める事はなかった鈴木は、努力と忍耐の末、望んでいた事務所に入ることができた。ブレークのきっかけとなった朝ドラ『花子とアン』のオーディションでヒロインの夫役を勝ち取ると、俳優・鈴木亮平という名前が世間に浸透していった。

焦燥感に駆られることも多かった下積み時代。それでも、追い求めた夢を諦めなかった原動力とは。

「僕は悪いことや失敗は、“未来への投資”だと思っています。失敗すると、そのときは悲しいし、落ち込むんですけど、その失敗から“やるべきこと”を学べますよね。そんなことの繰り返しだから、飽きないし、悔しいから続けられる。今でも、『失敗は大事だ』と自分に言い聞かせながら、目の前のことに取り組んでいます」

そんな鈴木の生き方や仕事への姿勢は、さまざまな人に影響を与えている。

「何を考えて、何を見て、どんな生き方をすれば、鈴木亮平さんになれるんだろうと真剣に考えてしまう」

俳優・鈴木亮平を撮影したことのある知人のカメラマンが、そんな感情が浮かぶと言っていた。その話を本人に伝えてみると、

「そんな成熟した人間じゃないですよ(笑)。その方に見えていた自分がいい自分だったのかもしれません。自分が好きなお芝居に対しては、ものすごく頑張れるんですけど、そんなに好きじゃないことに対しては、“めんどくさい”と思ってしまう。本当にダメな男ですよ」

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