以上で述べた「逆向き文章法」は、文章を書く最初の段階を起動させるのに有効だ。
文章を書く場合に最も難しいのは、書き始めることなのである。つまり出発慣性が大きいのだ。この段階を生成系AIの力を借りて突破しようというのが、「逆向き文章法」の神髄である。
「3000字の文章を書く必要があるのだが、どこから手を付けてよいのかわからない」といった場合があるだろう。
確かに、いきなり3000字の文章を書くのは大変だ。しかし、ツイート程度の文章を6本書くことはできるだろう。それによって「逆向き文章法」で3000字程度の文章が得られれば、それを修正することで作業を進めていくことができる。何もないところで文章を書くのは困難だが、文章を直すのは、それより容易なのだ。
ただし、この作業にはかなりの時間がかかることもある。だから、文章を書く時間が全体として短くなるわけではない。重要なのは、文章を書く作業が楽になることだ。
出来上がったものは、AIが出力したものとは大きく異なるものになるだろう。場合によっては、AIが出力した文章は、影も形もなくなるだろう(できれば、そうなるまで推敲を続ける)。そうなれば、これはAIが書いた文章ではなく、あなたが書いた文章だ。
良い感性、アイデアを持っている人が良い文章を書ける
以上の過程において、文章を書く主導権は人間が握っている。AIは補助しているだけだ。
だから、誰もが同じ結果を得られるわけではない。重要なのは、出発点での良い要約だ。良いアイデアを持っている人がより要約を書ける。そして良い文章を書くことができる。また、文章に関して正しい感性を持っている人が、推敲過程を通じて、良い文章に仕上げることができる。
文章を書く方法がこれまでとは変わるのだが、良いアイデアを持ち、よい感性を持っている人がよい文章を書けることに変わりはない。
なお、言うまでもないことだが、データの分析作業などがあるときには、この方法だけですべてを書くことはできない。また、新聞記者のように取材して書くことも、この方法だけではできない。ただし、分析結果や取材内容をまとめるためには有用だろう。
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