「衝撃の会員減」から1年、Netflixが見せた変化 複数提示された打開策には懐疑的な見方も

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創業者のCEO退任後初の決算発表となった今回、会社からは再成長に向けた複数の施策の進捗などが明かされた(撮影:今 祥雄)

「われわれにはまだまだ成長の余地がある。売り上げと利益の両面で成長を再加速させる明確な道筋があり、それを実行に移していく」

アメリカの動画配信大手、Netflixは4月18日(現地時間)、2023年度の第1四半期(1~3月期)決算を発表した。売上高は前年同期比3.7%増の81億6200万ドル、営業利益は同13.1%減の17億1400万ドルだった。

会員数は2億3250万人と、前四半期末から175万人増えた。Netflixは前回決算から会員数の見通しについて公表を取りやめており、会社予想との比較はできない。ただ、広告付き低価格プランを導入し、766万人の会員増となった前四半期と比べると、低調な伸びとなった。

切り札「広告プラン」の収益性に手応え

サービス開始以来初の会員数減少が、市場に衝撃を与えてからちょうど1年。2022年半ばからは再び増加に転じたが、同社の成長余地には今なお懐疑的な見方がなされ、現在の株価もピーク時の半値ほどで推移している。

そんな市場の不安を払拭する意図もあってか、テッド・サランドス共同CEOはビデオ会見で冒頭のように強調した。その言葉通り、今回の決算発表では、会社から再成長に向けた複数の打開策の進捗や、サービス内容の細かな軌道修正が明かされた。

Netflixの会員数推移

1つが、2022年11月に開始した低価格の広告付きプランだ。Netflixは「株主への手紙」の中で、同プランの進捗について「すべての主要な側面で進歩していることに満足している。エンゲージメントは初期の予想を上回り、スタンダードプランやプレミアムプランからの切り替えはほとんど見られなかった」と記している。

アメリカでは、広告付きプランの会員1人当たりの平均収益(サブスクリプション収益+広告収益)がスタンダードプランを上回ったという。スタンダードプランよりも収益性が高いとなれば、今後は既存プランからの切り替えも恐れず、より多くの会員獲得へと舵を切ることができる。

そこでNetflixは、広告付きプランで見られる動画の画質を720pから1080pへとアップグレードし、2つのデバイスでの同時接続も可能にするなどのサービス内容の拡充を発表した。「会員にとってより安い選択肢であり、経営にとっても売り上げ・利益の増加となる。ウィンウィンだ」(スペンサー・ニューマンCFO)。

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