「衝撃の会員減」から1年、Netflixが見せた変化 複数提示された打開策には懐疑的な見方も

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広告付きプランの拡大を見据えて、掲載を検討する広告主との取引のあり方も改善を進める。2022年7月に提携を発表したマイクロソフトのセールスプラットフォームを活用し、限られた広告主と広告枠をより円滑に取引できるシステム(プログラマティック・プライベート・マーケットプレイス)を導入するもようだ。

システム運用の詳細はまだ明らかになっていないが、日本でNetflixの広告枠の買い付けを行っているGLASSの齋藤拓真氏は「今後の広告付きプランの利用者増を見込んで、多くの広告をより効率よく配信できるようになる。広告主を限定したクローズドな取引が可能なため、Netflixにとっても安全な広告を配信しやすくなるのではないか」と分析する。

再成長に向けたもう1つの柱が、「有料シェアリング」の導入だ。

Netflixの推計によれば、家族や知人などとのアカウント共有によって、全世界で1億世帯以上がサービスを無料で利用しているという。この機会損失を問題視していた同社は、第1四半期にカナダなど4カ国で、追加料金を支払うことでアカウント共有を認める仕組みを導入した。プランによって共有できる人数は異なるが、カナダでは1人当たり月7.99カナダドル(スタンダードプランは16.49カナダドル)で共有が可能となる。

カナダはこの仕組みの導入によって、アメリカを上回るスピードで売り上げが成長しているようだ。会社側は「われわれが正しいアプローチをとっているという自信が高まった」とし、第2四半期にはアメリカを含むより広範な地域で導入を進める予定だ。

各国で均一的だった価格戦略を修正

これら2本の柱とは別に、価格戦略でも大胆な修正を行っている。この3カ月の間に、116カ国で価格を引き下げたのだ。

値下げ幅は国によって異なり、例えばアフリカのケニアではプレミアムプランが24%、スタンダードプランが36%、ベーシックプランでは57%の大幅な値下げとなっている。各国の足元の市場動向に合わせた細かな調整を行ったとみられる。

2016年に世界展開を始めた当初は、「ほとんどの国において、価格設定では比較的均一なアプローチをとっていた」(Netflix)。しかし2021年にインドで20~60%の値下げを行ったところ、会員の大幅な増加につながり収益の成長も加速したことから、世界的な価格改定を決断したようだ。

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