ジャニーズ事務所が"企業として"果たすべき責任 ジャニー喜多川氏の「負の遺産」にどう向き合うべきか
海外メディアではこの件は大きく報じられたものの、日本の大手メディアは沈黙をしていた。ところが4月12日、日本外国特派員協会での記者会見で、元ジャニーズJr.のカウアン・オカモト氏が実名・顔出しで被害を明かすと、状況は一変。
記者会見の様子について、翌日にNHKが報道。さらにテレビ東京や日本テレビも自社のウェブメディアなどで取り上げた。Arc Timesの報道後には、TBSの情報番組「サンデーモーニング」がこの問題に踏み込んだ。各社のここまでを振り返れば、一連の相次ぐ報道は、大きな変化といっていいだろう。
事務所やジャニー喜多川氏に対するネット上の人々の声は、批判的なものも多いが、一部に擁護する意見もみられる、主な意見として、下記のようなものが見られる。
忘れてはならないのは、ジャニー喜多川氏の行為は、企業の経営者がその立場と権力を利用してなされたものであり、その行為の責任は、個人の範囲に留まらないということだ。
ジャニー喜多川氏の性加害問題を報じてきた「週刊文春」を発行する文藝春秋社との訴訟において、東京高裁は2003年に性加害の「真実性」を認定している。その後、再発防止策が取られなかったことは、ジャニー喜多川氏個人だけでなく、企業体としても責任が問われなければならない。その意味で、1、2の主張は成立しない。
3に関して、忘れてはならないのが、被害者が当時未成年者であったという点である。たとえ合意があったとしても、未成年淫行は違法行為である。合意のもとに行われたという点でも、疑問が残る。
「擁護意見」の中で考慮するべき視点があるとすれば、4だ。これを盾に事実解明がなされないまま放置されるということはあってはならないことだ。
今後、ジャニーズ事務所は、被害者の名誉と人権に配慮しつつ、世の中に対して説明責任を果たさなければならないという、難しいかじ取りが求められることになる。
ジャニーズも例外ではない、企業が取るべきリスク広報
大きな不祥事が起きた場合、企業は下記のようなプロセスでリスク対応を行うのが一般的だ。
こうした対応を行うことは、問題を起こした企業が、社会責任を果たすことが求められるということのみならず、企業が早期に信頼回復を実現し、業績を維持、向上させるという点においても重要なことである。
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