ジャニーズ事務所が"企業として"果たすべき責任 ジャニー喜多川氏の「負の遺産」にどう向き合うべきか

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例えば、日本マクドナルドホールディングスは2015年の相次ぐ異物混入によって、経営危機に陥ったが、その後の徹底したリスク対応と、それに合わせた経営改革を実行した。それによって、企業の評判は早期に回復し、最終的には過去最高益を更新するまでの業績回復を実現させた。

一方、三菱自動車の事例が記憶にある人も多いだろう。2000年にリコール隠しが発覚したが、十分な対応は取られず、2004年にも別のリコール隠しが発覚した。その後も根本的な対策が講じられず、棄損した企業の信頼とブランドイメージは回復することなく、業績の低迷が続いた。

雪印乳業のように、食中毒等の不祥事への対策の不備によって、企業名、ブランド名までも消滅してしまった事例もある。

芸能界自体がやや特殊な業界で、ジャニーズ事務所はその中でも独特のカルチャーを持つ企業であり、なおかつ最大の当事者であるジャニー喜多川氏が2019年に死去しているという事情があることは紛れもない事実だ。

しかし、企業、法人であることに変わりはなく、ジャニーズ事務所だけが、上記のような対応を免れるわけではない。

事実、BBCのドキュメンタリー報道や、元ジャニーズJr.のカウアン・オカモト氏の記者会見の直後に、事務所側は1~4のプロセスをスキップしている。今後いきなり5を行うとする可能性もある。はたして、今後どのような対応や対外的な発表がなされるかが注目される。

ジャニーズ事務所がこれから直面する困難

ジャニーズ事務所が取引先に文書を送付したという報道を受けて、ネット上では「アリバイ作りのために行っているに過ぎない」「根本的な対策が取られるとは思えない」といった批判がなされている。

しかしながら、独自に取材を進めているメディアもあるし、すでにBBCをはじめ海外メディアでも報道されている。ネット上では、一般人だけでなく、有名人やメディア関係者も本件について論じている。

20年前の文藝春秋社との訴訟時とは、企業へのコンプライアンス意識も、情報・メディア環境も大きく異なっている。

事務所側が中途半端な対応を取っていると、メディアの報道やネットでの批判は止まず、事態は収束せず、疑念はより深まっていくことになるだろう。

これからジャニーズ事務所が性加害事件への対応を行ううえで、直面するであろう困難がいくつかある。

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