ジャニーズ事務所が"企業として"果たすべき責任 ジャニー喜多川氏の「負の遺産」にどう向き合うべきか
大手芸能プロダクション「ジャニーズ事務所」の創業者のジャニー喜多川氏(2019年死去)が所属していた複数のタレントに性加害を行ったとされる問題で、じわじわと波紋が広がっている。
ジャニー喜多川氏の性加害に関して、これまで事務所側は公にはコメント等は出していない。共同通信の取材に対して、「コンプライアンス順守の徹底などを、全社一丸となって進めてまいる所存です」といった、一般的な表明を行ってきただけだった。
そうした中、元朝日新聞記者の尾形聡彦氏が編集長を務めるネットメディア・Arc Timesが一石を投じた。
事務所側が社員や所属タレントを対象にした聞き取り調査を行っていること、さらには相談窓口の設置などの今後の対応策の方向性を示した文書を、取引先企業に送付したと報道したのだ。
今後、ジャニーズ事務所による正式な発表が待たれるが、事務所側がジャニー喜多川氏の性加害問題を重大に受け止め、具体的な対応策を表明するのであれば、この問題が一歩前進する可能性も考えられる。
本当にジャニーズ事務所の真価が問われるのはこれからである。本稿では、主に「リスク広報」という側面から、企業が一般に取るべき対応策を本事件に当てはめて考えてみたい。
故人だからといって、責任は免れない
今回、性加害の問題がクローズアップされる発端となったのは、イギリスの公共放送BBCによるドキュメンタリー番組だ。3月18日から20日にかけて、BBCワールドニュースで計4回、「J-POPの捕食者 秘められたスキャンダル」「(Predator : The Secret Scandal of J-Pop)として放送された。
そこでは被害者たちが、ジャニー喜多川氏が生前にタレント志望の少年たちへ性的加害を繰り返していたと証言していた。
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