デフレギャップは解消、もう原発は造れない--『知らないと恥をかく世界の大問題2』を書いた池上彰氏(ジャーナリスト)に聞く
──米国オバマ政権の方針も原発大量建設でした。
さてどうするか。2012年は世界の首脳交代の当たり年になる。
世界のリーダーが大きく替わる可能性がある。米国もロシアも中国もフランスも韓国も台湾も。それぞれ任期は違うが、いわばまれに見る「惑星直列」の状態で、世界の首脳陣が任期末を迎える。
──人が替われば方針も変わりますか。
それもある。選挙に勝つためにポピュリズムになっていくから、ロシアにしても中国にしても、国威発揚のため領土問題などで強い態度に出てくるだろう。これからますます国際的な摩擦は高まってくる。
3月上旬に米国に取材に行ったのも、大統領選挙に向けての動きを現地で見るためだった。現時点ではオバマ大統領に対抗する共和党の有力候補がいないという印象だった。来年の1月から予備選挙や党員集会が始まり、戦いの火ぶたが切られる。そこから候補者を一本化する戦いに入る。9カ月後だ。来年は米国に頻繁に行くことになる。
──中国の後継首脳は決まっていますね。
そう。ただ、ロシアはどちらがなるのか。メトベージェフ大統領がもう1期やるのか、プーチン首相がいいかげん辞めろと言うのか。候補者はこの二人に絞られ、これから二人のさや当て、支持勢力の争いが続く。プーチン首相にしても58歳と若いが、ロシア人男性の平均寿命を超えた。次期大統領は6年任期だけに、その後はないという焦りがあるだろう。
これからロシアでは国外からはうかがい知れないような摩訶不思議なことが起こってくるはず。理解しがたい、訳のわからないことが。後で、あれは権力闘争の一端だったとわかるような。