ツルハ、大株主イオンとは一線画すM&A 北海道のチェーンが四国の薬局を買う意味

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一方、北海道が地盤のツルハHDは、札幌本社から本州へ南下し、首都圏では「くすりの福太郎」を傘下に収めている。中四国地方でも、ウエルネス湖北(島根)約60店、ハーティウォンツ(広島)約140店を持ち、レデイ統合によって、「エリア別店舗数では中四国が北海道を抜いて最多となる」(ツルハ関係者)。

ドラッグストアはなじみの店に客がつくため、看板替えには慎重なチェーンが多い。ただ、それは店舗オペレーションやシステムの共通化を妨げるデメリットと、裏腹でもある。ツルハHDは商品部を統合して別会社化し、共同購買や運営システムなど、裏側は限りなく統一的に運営しており、別看板の子会社群の経営効率改善には定評がある。「お客様第一主義の理念がツルハと一致した」と、フジがほめるのも、おせじばかりではない。

フジはGMS(総合スーパー)中心ながら、関連会社で飲食、旅行、レンタリース、カードなどを手広く手掛ける、自前志向が出色のチェーン。ドラッグストアも集客ツールの核として手放す気はなかった。ただ大手に対抗するノウハウには乏しい。ツルハに経営権を譲り、収益性を高めてもらい、今後もショッピングセンター(SC)内での出店などで協業していく道を選んだ。

買収や事業譲受に当たっては、100%子会社化が前提だったツルハにとっても、他社資本が入るのは初めてのケース。中四国ではまだまだ地名度の低いツルハが、同地域でドミナント化を進めるうえでは、フジとのタッグは理想的だ。食品重視で業績を伸ばすコスモス薬品に対抗するためにも、地元住民の嗜好を良く知るフジのノウハウは欠かせない。

上位10社でシェア6割の星雲状態

今回の再編は、瀬戸内海の向こうの「対岸の火事」ではない。背景には大きな変貌期を迎えつつある、ドラッグストア業界の実情もある。人口減少の日本で、成長を続ける数少ない業態の1つであるドラッグストアだが、2014年度の市場規模は6.1兆円で、わずか1.0%増と伸び悩みが鮮明。飽和感が強まっている。

大手の寡占が進まず、売上高3000億~5000億円に上位7社がひしめくとはいえ、「上位10社でシェア6割弱となる。収益性に劣る下位チェーンは、今後もM&Aのターゲットとなる」(いちよし経済研究所の柳平孝・主任研究員)。

大手の出店合戦は、関西から中部地区へ主戦場がシフトしつつあり、数年後には首都圏決戦の可能性もある。コスモス薬品のように、2000平方メートルクラスの巨大店舗が、チェーンオペレーションで列島を席巻するのか。都市部小型店に強いマツモトキヨシやサンドラッグが、金城湯池を守り切るのか。群雄割拠から天下分け目の戦いへと業界が移る中で、やがて大手チェーン同士の合従連衡が始まるかも知れない。

山川 清弘 「会社四季報オンライン」編集部 編集委員

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やまかわ・きよひろ / Kiyohiro Yamakawa

1967年、東京都生まれ。91年、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。東洋経済新報社に入社後、記者として放送、ゼネコン、銀行、コンビニ、旅行など担当。98~99年、英オックスフォード大学に留学(ロイター・フェロー)。『会社四季報プロ500』編集長、『会社四季報』副編集長、『週刊東洋経済プラス』編集長などを経て現職。日本証券アナリスト協会認定アナリスト、日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト。著書に『世界のメディア王 マードックの謎』(今井澂氏との共著、東洋経済新報社)、『ホテル御三家 帝国ホテル、オークラ、ニューオータニ』(幻冬舎新書)など。

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