「あった方がいい病」が組織の生産性を低下させる 優秀な管理職は「引き算」発想で仕事を取捨する

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「出席しておいた方がいいから」で、いたずらに会議の出席者を増やしてしまう。「あれも調べておいた方がいいから」で検討項目を膨れ上がらせる。「この人にも話をしておいた方がいいから」で関係者を増殖させてしまう――このような「足し算」の発想が、仕事の質を希薄化させ、生産性の低下を招く「あった方がいい病」です。

限りある時間は有効に使うべし、ということに異論を唱える人はいません。しかし、「あった方がいい病」にかかってしまうと、そのことがスポッとアタマから抜けてしまいます。というのは、「あった方がいい」というのは、そこだけ切り取れば正論だからです。ジャックの場合も、出席すれば得るものがあるかもしれない、という点だけ見れば正論です。

しかし、それは「効果がゼロではない」ということを言っているにすぎません。使った時間に応じた効果があるのか、他の選択肢と比べても価値があるのか、つまり生産性の観点からは何も言っていないのです。その点をわきまえずに「あった方がいい」を乱発すると、時間の密度が際限なく薄くなり、生産性低下のドツボにはまり込んでしまいます。

限られた部下の時間をどう使うか

上司は、「ジャックが会議に出ておいた方がいいかどうか」ではなく、ジャックの限られた時間の中で、「会議に出るのと、いまやっている仕事を続けるのとでは、どちらにより意味があるのか?」で判断すべきです。

生意気なところはあっても、仕事はできるジャックです。時間を使えば使っただけの成果を出す力を持っています。であれば、「必要だというわけではないが」という会議に貴重な時間を使わせるのは良い選択とは言えません。

「あった方がいい」を英語では「nice-to-have」と言います。これに対して「必要不可欠」は「must-have」です。私たちは、アメリカ親会社のグローバルCEOからつねに、「nice-to-haveではなくmust-haveで仕事をしろ」と言われてきました。nice-to-haveを基準にするといくら時間があっても足りないうえに、ノイズが増えて本当に大切なものを見失ってしまうからです。

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