その努力の根源は、やはりずっと抱えていたコンプレックスにあったそうです。
「東京に住んでいれば得られたはずの学歴を取りに行くため、子どものころの忘れ物を取り戻しに行くためでした」
彼の今の夢は、学歴の最高峰にある、東京大学か京都大学に入ることなのだといいます。
実際、2022年に東京大学と京都大学の大学院も受けたえぐざまさん。彼は落ちた理由を「まとまった時間をとって勉強ができていないからです」と語ります。仕事をしながらの受験はなかなか大変ですが、一昨年からTwitterをはじめたことで自分の中の意識も劇的に変わったそうです。
「Twitterで連絡を取り合ったことで、受験勉強や学歴に興味を持つ知り合いができたのですが、彼らは私よりはるかに若いのに当たり前のように英語や数学ができて、言語化スキルが桁違いに高い人たちでした。
どうしても彼らと自分と比較してコンプレックスを抱いてしまうのですが、自分が成長する機会だと捉えてプライドを捨て、26浪目にして初めて、Twitterで知り合った一橋の人や、オンラインの予備校の人にお金を払って勉強を教えてもらうようになったのです。
私は今まで、文章がうまいと自信があったのですが、院試で使う小論文を『型ができていない』と酷評されて落ち込みました。自分のお金で優秀な人に勉強を教えてもらえる機会に恵まれたからこそ、26年勉強をしてきて自分の弱い部分に初めて気づけました。だからこそ、今、いちばん受験に対する熱が高まっています」
彼の挑戦は最終局面を迎えている
実際、2022年秋の京都大学の院試では論文、東京大学の院試では英語でそれぞれ合格点を上回りました。合格にはわずかに届かなかったものの、もう手の届く範囲にあります。
「去年の入試のおかげで、苦手だった英語が東大の院でも通用するんだととても自信になりました。私は、若いころから学歴が低いと周囲の人に言われ続けていたのですが、そのときに『家庭環境が原因』と反論しても言い訳や甘えだと捉えられて悔しい思いをしました。だからこそ、東大か京大に進んで経済格差・地域格差の研究をしたいと思っています。そこに受かったら、私の学歴活動は終了します」
27浪、45歳。彼の四半世紀以上にわたっての挑戦は今、最終局面を迎えました。
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