なぜか「評価される人」は話の中身が明らかに違う 大事なことは「どう言うか」より「何を言うか」

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ここまでチームメンバーの意見を聞いて、あなたならどちらの案がよさそうだと感じましたか? もちろん、ポスターデザインに絶対的な正解はありません。しかしここで大切なのは、あなたの質問に対してメンバーがどんな答えをしたか、です。

鋭いあなたのことですからすでにお気づきだと思いますが、3人のメンバーのうちAさんとBさんは、言い方は違えど、実は両方とも「すっきりしているから好き」と、ほぼ同じ内容を言っています。しかし、Cさんだけは「何を言うか」、つまり、言っている「内容」そのものが違います。

そして、誤解を恐れずにいえば、AさんとBさんは話が「具体性」に欠けていて、説得力がありません。おそらく2人とも、頭の中に「モヤモヤ」としたイメージはありますが、そのほとんどをうまく言葉にはできていない、「言葉の解像度」が低い状態です。ですから、「何となくきれいにまとまっていて……」「シンプルで好き……」と、一言出てくるのがやっとなのです。しかも、「他の誰でも言えてしまいそうな内容」の話です。

自分の意見を頭の中で整理し、言語化できることが大切

一方で、Cさんは「言い方」云々ではなく、「話の内容」そのものが「具体的」です。自分の頭にある「モヤモヤ」を見事に「明確な言葉」にしていて、「言葉の解像度」が高い状態です。他のメンバーが言葉にできないことまで言語化していますから、必然的に「独自の視点」を持った意見になっていて、周囲が思わずハッとするような説得力があります。

あなたが3人のうちどの意見に共感したかはわかりませんが、少なくともCさんのような意見が言える人がチームにいると、リーダーとしては心強いのではないでしょうか。

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今回の架空会議では、あなたにはリーダーとして意見を聞く側に回っていただきました。しかし、あなたの普段の仕事において、今回の3人のように何かしらの意見を求められる機会はとても多いのではないかと思います。

そのときに、自分の中でモヤモヤと感じているものはあっても、それが何なのかはっきりと言葉にして意見できない。もしくは、周囲が思わずハッとするような説得力のある意見が言えない。

そんな悩みの根本的な原因は「どう言うか」よりも「何を言うか」が自分の頭の中で整理され、言語化されていない状態だからなのです。

そして、他人があなたを本当に評価するのは、意見を求められたあなたが「何を言うか」です。

あなたの意見に、「質問者が思いもつかなかった視点」があるか。「新しい気づき」があるか。それこそが、コミュニケーションを通してあなたの評価が上がる大きなポイントになるのです。

荒木 俊哉 電通 コピーライター

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あらき・しゅんや / Shunya Araki

1980年、宮崎県生まれ。一橋大学卒業後、2005年に電通に入社。営業局を経てクリエイティブ局へ。コピーライターとして、さまざまな商品・企業・団体のブランディングにたずさわり、これまでに手がけたプロジェクト数は100以上、活動は5大陸20カ国以上にのぼる。世界三大広告賞のCannes LionsとThe One Show のダブル入賞をはじめ、ACC 賞、TCC 新人賞、NIKKEI ADVERTISINGアワード、YOMIURI DVERTISINGアワード、MAINICHI ADVERTISEMENT DESIGNアワードなど、国内外で20以上のアワードを獲得。広告以外にも、国際的ビッグイベントのコンセプトプランニングや、企業のミッション・ビジョン・バリュー策定のサポートなども行う。一橋大学で広告のゼミ講師を務める。また、国家資格キャリアコンサルタントの資格を持つ。著書にベストセラー『瞬時に「言語化できる人」が、うまくいく。』(SBクリエイティブ)がある。

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