スキー場ご飯「高くて味は普通」脱却でこうなった できないことでも「外部の力」を借りればできる

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経済的なメリットを超え、「その地域や企業が好きで、応援したいから」と力を差し伸べてくれる「応援団」の存在も、隠れた資産を活用した独自性の高いコンテンツ作りには欠かせません。

ズブの素人でも「音楽フェス」ができた

前回ご説明した、国内でも珍しい「ゴンドラに乗って行く山頂で絶景を眺めながら楽しむ音楽フェス」である白馬ヤッホー!フェスは、この「応援団」なしでは成立することのないイベントです。

このフェスを始める前、私たち白馬岩岳チームは、音楽については完全な素人集団でした。ヤッホー!フェスの企画は、小さいころから白馬岩岳に通っており、何かと白馬のことを応援してくれているスキマスイッチの常田真太郎さんを通じて、現在イベントプロデューサーとしても活躍されている元キマグレンのISEKIさんを紹介いただいたことから始動しています(ちなみに先日、常田さんがプロデュースした素敵なサッカーグラウンドが白馬に誕生しました)。

最初は「地方での音楽イベント開催の難しさ」から引き気味だったISEKIさんでしたが、一度どうしてもと白馬を訪れていただいた際に、白馬の大自然の素晴らしさに魅了されたことをきっかけに、私たちの「応援団」として本イベントのアレンジをしていただけるようになったのです。

2023年5月20~28日には、第3回が開催予定です。スキマスイッチさんやISEKIさん、同じように白馬の山を好きになってくれたGAKU-MCさん(過去2回連続出演)のほか、ゴスペラーズさんやクリス・ハートさん、Original Loveの田島貴男さん、阿部真央さんなど、白馬の空気感にぴったりのアーティストをISEKIさんがブッキングしてくれており、現時点でもチケットの販売は前回を超えるペースで順調に進んでいます。

このように「隠れた資産」を独自性の高いコンテンツに磨き上げるときに、「事業パートナー」や「応援団」の存在が、自分たちの足りない部分を補ってくれる大きな力になってくれることは多いと感じています。

これから「独自性の高いコンテンツ」作りを進めようとする際はぜひ、自分の周りにそうした事業パートナーの候補になる人たちや応援団になってくれる人たちがいないか、確認してみてください。その人たちと一緒になって、新しいチャレンジをすることで、勝機が見えてくるのです。

和田 寛 白馬岩岳マウンテンリゾート代表

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わだ ゆたか / Yutaka Wada

1976年生まれ。東京大学法学部卒業後、農林水産省、ベイン・アンド・カンパニーを経て、2014年に白馬で働き始める。

2016~17年の記録的な少雪でスキー場の来場者が激減したことを受け、白馬岩岳マウンテンリゾートの経営者として冬期のスキー客だけに頼らない「オールシーズン・マウンテンリゾート」を目指した改革に取り組む。革新的なアイデアを次々投入した結果、2019年にはグリーンシーズンの来場者数がウィンターシーズンを超え、収益も改善。2022年には18万人(2014年比818%)を超える見込み。

その活躍が大きな話題となり、わずか4年で「ガイアの夜明け」「ワールドビジネスサテライト」など100を数えるテレビ番組に紹介される。

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