スキー場ご飯「高くて味は普通」脱却でこうなった できないことでも「外部の力」を借りればできる
①の先行事例のベンチマークや②の要素の掛け算で編み出したアイデアも、自分たち内部の力だけでは実現できないケースも多いでしょう。これを「外部の力」をうまく借りることで実現に近づけることが大事なのです。
外部の力と一口に言っても一様ではなく、大きくは「事業パートナー」と「応援団」に分かれます。
「事業パートナー」は契約を結び、相互に経済的なメリットがある中でこちら側のことを良くしようと思ってくれる人たち、「応援団」は大きな経済的な見返りもなく、こちら側のことを好きになってくれて応援してくれる人たちという違いです。
ゲレンデ飯を「わざわざ食べに行きたい」と思わせる
最初の「事業パートナー」ですが、白馬岩岳の例で言えば、「絶景が見える崖状の土地」×「洗練されたデザインの建物」×「美味しいフード、ドリンク」という要素の掛け算から生まれた白馬マウンテンハーバーにおけるTHE CITY BAKERYさんがわかりやすい例です。
スキー場での食事として普段はカレーやラーメンといった一般的なメニューを提供している私たちが、わざわざ食事を目的に行ってみたいと思える「美味しいフード、ドリンク」を提供しているとお客さんから認識いただくのは、なかなか難しいことです。
そこで私たちは、都会や他のリゾート地で素敵な飲食店を展開されている事業パートナーと組ませていただきたいと考えました。そうしてお声がけしたのが、長野県軽井沢に本社を置き、「THE CITY BAKERY」のほか「川上庵」「酢重正之」「ベーカリー&レストラン沢村」など都内にも多くの素敵な店舗を出店されている外食企業のFONZさんでした。
交渉自体はすんなりいく話ではありませんでしたが、フランチャイズ(FC)というスキームを取ることで相互の強みを生かすことが可能となり、実現に向かったのです。
THE CITY BAKERYの強み
これまで構築されてきたブランド力や、素敵なお店をつくるデザイン力、美味しいパンのレシピなど
スキー場運営会社である白馬岩岳の強み
スキー場の山頂という厳しい気象条件下でのオペレーション、繁閑の差を埋めながら柔軟な人員体制を組む経験、白馬での採用活動といった現場オペレーション
このように双方の強みを活かし、かつ双方にメリットのあるスキームで外部の力を活用することができれば、「隠れた資産」を活用し、独自性の高いコンテンツに仕立て上げることも可能になるのです。
実際、それまでグリーンシーズントータルでの来場者が最大でも3万人程度だったものが、THE CITY BAKERYさんが出店した白馬マウンテンハーバー開業後の1カ月だけで、3万人の集客に成功しました。
さらに、訪れてくれたお客さんの多くがSNS発信をしてくれるようになりました。投稿された写真やコメントを見ると、食事や飲み物に言及してもらうケースがほとんどです。
THE CITY BAKERYさんという「事業パートナー」の力を借りることで、単なるスキー場ではない、「マウンテンリゾート」としての知名度向上に成功したのです。
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