4位は3年平均取得率100.4%のホンダ。有給休暇の完全取得推進として、3・5連続有給休暇取得制度を設ける。1月1日時点で在籍し、かつ有給休暇保有日数が10日以上であれば3日、勤続5年以上で有給休暇保有日数が15日以上であれば5日の連続有給休暇が取得可能となる制度だ。
5位は車体プレス部品メーカー、エイチワン(99.3%)。すべての有給休暇を半日単位で取得することができるほか、フレックスタイム制度など柔軟な働き方にも対応している。
以下、6位コマツ(99.2%)、7位豊田自動織機、テイ・エス テック(98.5%)、9位関西電力(96.6%)、10位デンソー(96.5%)と続く。
ランキング上位企業の変動が小さい理由
有給休暇取得率ランキングは、上位企業の変動が小さい。今回のランキング上位10社のうち、前回から継続して上位10社にランクインしている企業は7社。DMG森精機、ホンダ、コマツ、テイ・エス テックの4社は、過去3回連続で上位10社にランクインしている。
このような継続的に高い有給休暇取得率を獲得する企業は、長期にわたり有給休暇の取得を推進し、それを実現するための風土醸成や環境整備に取り組んでいるのだろう。組織において、風土改革や環境改善は一朝一夕でできるものではない。本ランキングは、相当な時間をかけて築かれてきた努力の結果ともいえる。
昨今、人的資本への関心は高まっている。2023年3月期以降に提出される有価証券報告書からは、女性管理職比率など人的資本に関する情報の開示が義務化される。企業が持続的に成長していくために、人的資本である従業員が担う役割は非常に大きい。
そういった意味で、既存の人材の維持と新たな人材の獲得の両面から、多様な働き方やワーク・ライフ・バランスの実現は肝要だ。それらを支える1つの手段として、有給休暇のあり方や取得しやすい環境の整備についても改めて考える必要がある。
今回ご紹介した例は『CSR企業総覧(雇用・人材活用編)』2023年版に掲載しているごく一部だ。「東洋経済CSRデータ」でもさまざまなデータを提供している。
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