さらに衝撃だったのは、KPIを達成していた社員が大量に辞めたにもかかわらず、われわれは今日も変わらずツイッターを使えるということです。KPIが未達に終わったら事業計画は破綻するはずなのに、どういうことだ?というわけです。これは私の想像ですが、KPI管理が形骸化して、あまり重要ではない仕事にまでKPIをセットすることが求められ、結果ムダが発生していたのではないかと思います。
こうした中、アメリカではKPI至上主義的な考えを捨てる企業が出始めています。IT大手アドビなどではKPIという考えをやめ、その代わり四半期ごとに「チェックイン」といわれるマネジャーとの面談を行い、数字にこだわらず本人のやる気を確認し、会社からの期待を伝えるという前向きな時間に置き換えるようにしているといいます。
これは、KPIによる数字的な追求をするよりも、社員のエンゲージメントを高め、伸びやかに働いてもらうことで業績のアップを目指すという考えです。エンゲージメントの高い社員は定着率も高く、社歴に応じた経験値で組織に貢献してくれます。
実はエンゲージメント高める日本型経営
特に新型コロナの影響で出社が減った今、滅多に顔を合わせない部下をKPIで追い回すよりも、社員の会社への帰属意識、エンゲージメントを高めることが改めて見直されているようです。会社という場所を家庭に次ぐ第二の自分の帰属する場所として愛着を持ってもらい、そこで働く仲間との絆を誇りに思い、そのために頑張る、という価値観です。
ここまで聞いて日本企業に勤めている方は「デジャブ感」を感じたのではないでしょうか。そうです、ここで提唱されている制度や価値観は日本企業の伝統に近いものです。実は日本型の経営は、社員のエンゲージメントを武器と考える経営にとっては最強のモデルなのです。
ただ、序列重視による組織の硬直、変化への対応の遅さなど、日本型モデルにも問題点が多数あります。おそらく日米の中間に正解があるようにも思えますが、はたして日本でこれからKPI、KGIという管理手法がどう最適化されていくのか、私としても大変興味があります。
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