「200件応募→採用ゼロ」IT企業インターンの真実 特権階級優遇の選考手法で庶民学生には狭き門
それほど有名でない公立大学の学生の中には、スタンフォード大学、マサチューセッツ工科大学(MIT)、ジョージア工科大学、カリフォルニア大学バークレー校のようなコンピューターサイエンスのトップ校の学生との競争で不利な立場に立たされていると感じたとする声もあった。
少数ではあるが、アルバイトを辞めたり、授業の課題を放置したりして、テック企業のインターン応募に精力を傾けたものの、採用されなかったという学生もいた。
応募プロセスから社会・経済的な不公平を感じ取ったという学生もいた。
内部紹介というコネ採用、応募しても完全無視
マイクロソフトやグーグルといったテック企業には、内部紹介システムといって、従業員が候補者を推薦できる仕組みがある。こうした推薦は、数万人の応募者から特定の学生を目立たせるのに役立つ。ただ、知名度で劣る大学の学生は、従業員の推薦につながる可能性のある業界関係者、親族、エリート大学を通じたコネを持っていないことが多い。
ファーマーによれば、懸念すべき事項はほかにもある。インターンの選考プロセスにおいて、働いている学生が見落とされたり、その実力が過小評価されたりする可能性だ。
コロラド鉱山大学でコンピューターサイエンスを専攻するダヴィタ・バードは、コンピュータープログラミング言語を6つ学習。大学の課題に加えて、数学の授業のティーチングアシスタント、女子向けの科学技術教育プログラムの講師、大学のイベントオーガナイザーのアルバイトを3つ掛け持ちしている。
前学期中、バードは2カ月にわたって毎晩1時間をかけて、エアビーアンドビー、アマゾン、グーグル、オラクルのほか、それより小規模な企業のインターン40件に応募したが、その大半からは返答すらもらえなかったと言う。
「フルタイムの学生として学びながら、授業以外にも仕事を持って、雇用期間が5カ月も続かないインターンの仕事探しに毎週5時間もかけなければならない」。先日、ある電機関連企業でクラウドコンピューティングのインターンに採用されたバードは、ニューヨーク・タイムズにこのようなコメントを寄せた。「不採用にした会社は、せめて不採用の通知くらいメールしてくれてもいいのに」。