原発問題は郵便事情にも大きな影響、30キロ圏内の集配業務に支障【震災関連速報】

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 しかし、力丸広支店長以下、支店職員としては、郵便を迅速に届けたい。結果、苦肉の策として編み出したのが、自治体が行っている防災放送の活用だった。「都路町の○○さんに郵便が届いています」と放送してもらって、その人が郵便局(三春支店)に来局すれば、本人確認の上で手渡している。しかし、都路町にとどまっている住民には郵便を届けることは不可能だ。屋内退避地域であり、配達ができないからだ。

「郵便をお届けしたいのですが…」 

力丸支店長は原発問題に発した規制の壁に苦悩の色を浮かべている。

同支店を苦しめているのはそれだけではない。ガソリン不足が深刻化したからだ。郵便配達したくても、配達車輌の燃料の確保が困難化した。

「一部職員がガソリン保管の携行缶を持っていたので、これを活用して少しでも溜め込んだものの、日々、ギリギリの状態が続いた。最後は、車輌をやめて、全員で自転車による配達をしなければならないというところまで追い詰められた」

三春支店の担当エリアは山深い地域だ。急坂が多い。自転車による配達はきわめて厳しい。それに切り替えようとする直前に、ガソリン事情が改善したが、原発問題は一向に解決しない。

郵便局(支店)自体が30キロメートル圏内にあれば、営業することすらできない状態にある。福島県の郵便関係者の悩みはなかなか解決しない。

(浪川 攻 撮影:梅谷 秀司 =東洋経済オンライン)

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