ナイキの「伝説の靴」作った"お荷物部署"の逆転劇 映画「AIR/エア」関係者が語る製作の舞台裏
本作の舞台は1984年。当時は金メダリストのカール・ルイスがナイキのシューズを履くなど、ランニングシューズのトップブランドではあったものの、ナイキのシューズを履きたいというバスケのトップ選手はほぼいない状態だった。
当時のバスケシューズのシェアはNBAの公式シューズを担当していたコンバースが54%を占めており、続いてアディダスが29%。ナイキのシェアは19%と、業界3位の地位に甘んじており、経営を圧迫。社内でもたびたび廃止案が浮上するなど、お荷物部署としてギリギリの日々を送っていた。
そんな中、CEOのフィル・ナイト(ベン・アフレック)からバスケットボール部門の立て直しを命じられたソニー・ヴァッカロ(マット・デイモン)は、後に世界的スターとなるマイケル・ジョーダンの才能に目を付け、ナイキは彼と契約するべきだという確信を持つ。
だがアディダスやコンバースといった競合他社もジョーダンとの契約を狙っており、かつジョーダン自身はアディダスのファンであり、ナイキと契約するなんていう考えは頭の片隅にもなかった。そんな八方塞がりの状況の中、彼らが仕掛けた一発逆転の取引とは――?
関係者が語る映画の舞台裏
ここからはベン・アフレックやマット・デイモンら関係者のインタビューを交えて、この映画の裏側に迫ってみたい。本作の製作を担当したのは盟友マット・デイモンとベン・アフレック。2人が立ち上げた制作会社「アーティスト・エクイティ」の第1弾プロジェクトとなる。
この企画に魅せられた理由としてアフレックは「この物語には、マットと自分がアーティスト・エクイティでやろうとしていることと似たテーマがいくつか存在していた。
つまり製作している作品を自分のものにしていくことや、アーティストやクリエイターが、作品に多くのリスクを負っているという考えを受け入れることだ。
マイケル・ジョーダンの物語ほど、その人のアイデンティティや文化にしるした足跡が生み出す価値を、これほどまで象徴的に表す話はない。またこの映画は純粋にポジティブで感動的なメッセージを伝えてくれる作品だと感じた」と振り返る。
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