「170以下は人権ない」で大炎上した彼女の現在 プロゲーマー→配信者「たぬかな」の波乱の人生

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「父親は実家に対する嫌がらせに結構ムカついてました。

『(実家に電話をかけてきて脅すような)しょうもない奴に、お前負けんなよ!!』

って死ぬ前に言われました」

たぬかなさんの父親が亡くなり、1カ月ほどは落ち込む母親のそばにいた。

そして年が明けた1月、Twitchにて配信を始めた。

「父の言葉に後押しされ

『じゃあ、そろそろ配信始めるわ!!』

って感じでした。

実は父親が亡くなったときに借金を相続しまして。配信でどないかして借金代くらいは稼いでやろうという気持ちがありました。

正直、かなりうまくいってると思います。思った以上に稼げています」

一般人として好きなことを言える立場でいたい

配信者としては順風満帆なスタートだったが、しかし心の底から喜べない部分もあるという。

「今、褒めそやしてくる人の中には、当時たたいていた人もいっぱいいると思うんですよ。配信の中で、

『今、誉めてるけど、どうせ当時は私のことたたいてたやろ!!』

って言ったら、

『たたいてました!!』

って人いっぱいおったりとかして。

私は今はキッチリ悟りを開けていて

『扇動されやすい愚かな民衆を、それでも愛そう』

みたいな気持ちにはなってはいます。逆に弱者の男性に寄り添うような配信を心がけています。でも……やっぱりスッキリはしませんね。

ほかの人のチャンネルにも出演しますが、正直ギャラ次第です。お金が高い順に選んで出ています。私を動かしたかったら、札束で頬をたたいてください(笑)」

着実に視聴者、ファンを増やしているたぬかなさんだが、将来のことはあまり考えていないという。

「こんだけやっておいてなんですが、私やっぱり配信っていうのがあんまり好きじゃないんですね。仕事でしていたので不特定多数に向けてしゃべることはできるんですけど、本当の性格は陰キャで1人で家でずっとゲームをしていたいタイプなんです。

あと、配信界隈もいろいろ派閥があって、褒めたり、すり寄ったり、コラボしたりと、ゲーマー界隈と同じで気持ち悪いなって思い始めてて。私はやっぱり、こういう“界隈”で生きるのが苦手なんだなと。

実を言うと、このまま順調に稼げて借金を返し終わったらやめようかな? と思ってます。生配信だけじゃなく、メディア露出全般を。自己顕示欲とか承認欲求とかはもうプロゲーマーになったときにだいぶ満たされたんで、この人生ではこれ以上いらないかな? って。

なんだか今世はちょっといろいろ濃すぎたので。来世はちょっとゆったりとした生活がいいな~と思ってます(笑)」

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まだ発売日は未定だが、近々鉄拳シリーズの最新作『鉄拳8』が発売される。

「私、プロゲーマーやっていて気づいたんですけど、やっぱり好きなことでも仕事にしちゃうと少し嫌いになっちゃうんですね。

だから私、本当に格闘ゲーム『鉄拳』が好きだから、『鉄拳8』はなんのしがらみもなくプレイしたいな、と思ってるんです。プロゲーマーではなく、ただの一般人として楽しむつもりです。

あとプロになっちゃうと言いたいことが言えなくなってしまいますからね。一般人として好きなことを好きなように言えて、嫌いな奴にはいつでも

『死ね!!』

って言える立場でいたいですね(笑)」

たぬかなさんの言葉はとても真っ直ぐで、いやらしいところがなく、好感が持てた。

真っ直ぐだからこそ、これからも人とぶつかってしまうこともあるかもしれないが、その困難を乗り越えるしたたかさと逞しさを感じた。

これからの、たぬかなさんの活躍に期待したい。

たぬかなさん写真その3
したたかさと逞しさを感じさせたたぬかなさん(筆者撮影)
村田 らむ ライター、漫画家、カメラマン、イラストレーター

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むらた らむ / Ramu Murata

1972年生まれ。キャリアは20年超。ホームレスやゴミ屋敷、新興宗教組織、富士の樹海などへの潜入取材を得意としている。著書に『ホームレス大博覧会』(鹿砦社)、『ホームレス大図鑑』(竹書房)など。

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