ハーバード流「値上げで勝つ、負ける」戦略の差 ブランド力がなくても顧客満足度を高める方法

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しかし、それだけではありません。価格が高いということが逆に品質保証効果、識別効果を生み出します。つまり、「安かろう悪かろう」の逆で、「高かろう良かろう」という心理効果を生み出すのです。

アップルのようなブランド力があれば、価格を上げることはきわめて高い品質であるというメッセージになります。さらに、競合よりも高くなれば、価格という点で差別化され、識別効果にもつながります。その結果、ブランド価値を高め、WTPがさらに上昇することにつながります。つまり、価格を上げることがブランド力を高め、顧客満足度(=顧客歓喜)も高めることになるのです。

(出所:『「価値」こそがすべて!』)

顧客満足度とWTP

逆に、価格を上げて負けるパターンは説明するまでもないでしょう。WTPが変化しない状態で価格を上げることは顧客満足度の低下につながり、結果として顧客が離反していくことになります。

そもそもWTPが変化しない状態で価格を上げてもそれが失敗することは確実です。価格を上げて成功するための必要条件は、WTPがそれ以上に上昇しているということです。それがなければ、顧客満足度は低下することになります。

顧客満足度とは、WTPと価格の差額となります。価格を上げてWTPが変わらなければ顧客満足度は低下します。そのため顧客は離れていくことになり業績は低下していきます。したがって、価格を上げて勝つためにはWTPを高めることに注力する必要があります。

バリューベース戦略1:錯覚価値を高める

アップルが高いWPTを達成しているのはなぜでしょうか。端的に言えばブランド力の高さということになります。そういってしまうと、自社にはブランド力がないため、価格を上げて勝つということは無理だと思われるかもしれません。しかし、たとえいまブランド力がなくても、それを克服していくことは可能ですし、むしろ、その方向を真剣に模索していくことが必要です。

確かにアップルの場合、創業者であるスティーブジョブズのカリスマ性や、数多くのイノベーションを起こしてきたという実績、そして、製品自体のデザインの良さ、性能・品質の高さ、いままでにない新しい価値提案があることなどが高いブランドイメージにつながっています。それらをマネすることは難しいでしょう。

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