「評価者思考」の管理職が成果を出せない納得理由 質の高いアウトプットを生むリーダーの思考法

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特に、管理職などの責任ある立場にある人は、自分の思考形態がチームに大きな影響を与えます。そこで、まず自分が「学習者」としての姿勢で仕事をすること、その姿を部下に見せることが大切です。

その上で、部下に対しても、「どうすれば使えるようになるだろうか?」と問いかけながら、「学習者」の思考をチームに広げていくことが大切です。人の脳は、質問されるとそれに答えようとして動き始めるため、部下に新たな気づきが起きやすくなります。

効果的に気づきを起こす「抽象化と具体化」

「学習者」として自問しながら気づきを起こすための効果的なアプローチがあります。

戦後の大阪に、「立ち食いだが安い」というコンセプトが受けて連日大繁盛の寿司店がありました。しかし、殺到する注文に寿司職人の能力が追いつかないことが悩みの種でもありました。注文を聞いてから握ったのではさばききれないため、あらかじめ握った寿司の皿をカウンター上に積み上げておいたとのこと。

ある日、店の経営者である白石義明氏が、見学先のビール工場でベルトコンベアを目にします。次々と流れてくるビール瓶に所定の位置でビールが注入されている様子を見て、「これを何かに使えないだろうか?」と自問します。そして、開発したのが世界初の回転寿司です。

職人が握った寿司を客の席まで運ぶ時間を削減できるだけでなく、握った寿司をベルトコンベアで流して好きなものを取ってもらうという発想の転換によって、大幅な省力化に成功します。1958年に「廻る元禄寿司1号店」をオープンしたときのエピソードです。

そのとき白石義明氏の頭の中で起きたのは、「抽象化と具体化」という思考のプロセスです。

彼が見たのはビール瓶を運ぶベルトコンベアです。そこで、「寿司店とは違うから使えない」とは考えずに、ベルトコンベアの本質を「人が動くのではなく商品を動かす機能」だと抽象化します。この抽象化した本質的な機能を、あらためて「人が動くのではなく寿司を動かす」として寿司店の仕事に具体化したのです。

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