16年で300店、「焼肉きんぐ」が勝ち組になれた訳 ファミリーへ訴求、「韓国フェア」で学生も支持

拡大
縮小
「きんぐコース」のメニュー例(イメージ、写真:物語コーポレーション)

ちなみに、家族4人(大人2人、小学生2人)で全員が②「きんぐコース」(3498円×2+1749円×2)を注文。さらに大人は⑤「ソフトドリンク+アルコール飲み放題」(1529円×2)、小学生が④「ソフトドリンク飲み放題」(半額なので214.5円×2)を頼んだ場合で計算すると、「合計金額1万3981円」となった。

この金額を、高いと思うか安いと思うかは人それぞれだろう。だが、焼肉店にありがちな、さまざまな飲食を注文した結果、支払い時に「結構かかったな」と思わないですみそうだ。

3月のメディア説明会で披露されたメニュー(筆者撮影)

秋の人気イベント「韓国フェア」を春にも行う理由

同店では3月29日から春限定メニューとして、“ポチャ”をイメージした「韓国フェア」が開催中。ポチャは韓国語で「屋台」の意味で、メニューには「とろ~りチーズチュクミ」や「海鮮スンドゥブチゲ」などもある。

ちなみに昨年の春限定メニューは「焼肉は自由だ! ~キャンプ編~」を掲げ、キャンプめしで定番のステーキや骨付きカルビなどを訴求した。なぜ今年は「韓国」なのか?

「実は韓国フェアは、毎年秋に実施して大変好評をいただいています。今回はそれを春に持ってきました。春は新年度や新学期が始まる新生活のスタートですし、韓国フェアは集客のフックにもなるからです」(山口さん)

興味深いのは客層の内訳だ。「韓国フェアを打ち出すと、中学生や高校生のお客さまも増え、他のフェアに比べて中高生客が10%程度増加します」(同)

K-POPや韓流コスメ、韓流メイクは若い世代の支持が高いが、焼肉店のイベントにも韓国人気が波及しているようだ。ただし味つけは工夫する。「あくまでファミリー層が中心の店なので、基本は万人受けの味つけ。極端な激辛はありません」(同)

一般に外食店が「期間限定メニュー」を打ち出すのは、その店の常連客には“鮮度”を感じてもらい、一見客には“興味”を持ってもらうためといわれる。日本には四季があるので、春夏秋冬ごとにメニューを変えるケースが多いが、中には年6~8回行う店もある。

次ページ専門性からメニューを構成
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT