「やりたい仕事はすべてやったので気が済みました。結婚前、だから私はいつ死んでもいいと夫に言ったことがあります。『じゃ、今度はオレのために生きて』と返されて、だったらまだ生きていけると思えたんです。私の周囲は賢くてキレイな女性ばかりで、人には本当に恵まれてきたと思います。でも、私は自分のことに必死で、ほかの人のために生きてきませんでした。夫のおかげで『今度はそれか!』と思えたんです」
「ほかの人のために生きる」というセカンドライフ
今では美恵さんも誠也さんと同じく班長になり、管理職として会社を引っ張っている。別の班なのでシフトは異なるが、誠也さんは美恵さんが翌朝早くても早寝はさせてくれない。
「可愛いだのなんだの、しゃべりかけてくるんです(笑)。夫の愛情表現がすごくて驚いています」
誠也さんの両親は定年退職後は畑作業に打ち込み、プロ顔負けの無農薬野菜を2人に届けてくれる。美恵さんの母親は健在だが、父親は誠也さんと出会う前に他界。美恵さんを大らかに伸び伸びと育ててくれた父親だ。
「お義父さんに会えなかったのが非常に残念です。相手の親と気が合うし、お互いに大事にできていることがいいなと思います」
30代半ばまで実家に寄宿していたかつての自由人は、職場で出会った心優しく働き者の女性との結婚によって孝行息子に変貌した。その妻は自分のことに必死だった過去を克服し、「ほかの人のために生きる」というセカンドライフを謳歌している。
「自分の子どもは持てませんでしたが、友だちの子どもが『将来は美恵ちゃんみたいな女の人になりたい!』と言ってくれたんです……。これからもお客さんに『一日一笑』を届けられるようにがんばります」
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