刑務所で「日本地図を買う受刑者が多い」意外な訳 「国語辞典」を持っている人もけっこう多い

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単行本や雑誌は以上のように結構自由に接することができますが、案外と厳しいのが、本や雑誌の「回し読み」がご法度ということです。新聞も自前で購入できますが、同様に回し読み不可なんです。それは「物の貸し借りが禁止」というルールに伴って決められていることだからです。

施設によっては、時事に触れる目的で一般紙が平日の休憩時間や作業のない日に回覧で読むことができる所もありますが、もっとゆっくり読みたいとか、好きなスポーツ紙を読みたい人は自分で購入すれば読めます。

受刑者間で「貸し借り禁止」の理由

ちなみに「貸し借り禁止」についてですが、これは「受刑者遵守事項」の中に「金品不正授受」という項目があり、きっちりとルール決めされています。

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「貸し借り」は、上下関係や力関係、イジメの原因にもなりかねないので、厳しく禁止されています。お金を持っている人といない人の差などでトラブルが起こらないようにするためです。

それでいうと、食事に関してですが、「食べ物は残してもいいけど、他人にあげてはならない。交換も許さない」というルールもここから来ています。私にすれば、「税金で賄われている食事を残すな!」と言いたいところですが、体調にもよりますし、好き嫌いもあるといえばあるでしょうから仕方がないともいえます。

しかも、人にあげるという行為や交換とかがまかり通ると、「ご飯ひと粒とおかず1品交換」というようなイジメがありえてしまうので、許されないのです。

これらも懲罰などの処分の対象になりえます。

竹中 功 作家

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たけなか いさお / Isao Takenaka

1959年大阪市生まれ。同志社大学法学部法律学科卒業、同大学院総合政策科学研究科修士課程修了。吉本興業株式会社入社後、宣伝広報室を設立し、「よしもとNSC」の立ち上げ、月刊誌『マンスリーよしもと』初代編集長を務める。「吉本興業年史編纂室」「コンプライアンス・リスク管理委員」などを担当、よしもとクリエイティブ・エージェンシー専務取締役などを経て2015年7月退社。吉本興業での実務経験を元に謝罪・広報マスターとして危機管理やコミュニケーション指導、講演、全国の刑務所での釈放前教育を行っている。

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