迷惑行為に悩む「飲食店」を次々と襲う超難題 個人経営店での迷惑行為にどう対応すべきか
その中でも今、最も差し迫った問題は経営資金難だ。政府はコロナ禍の2020年から、コロナで経営が悪化した事業者向けに、民間の金融機関を通して実質無利子・無担保で融資する支援制度を開始した。
このいわゆる「ゼロゼロ融資」の返済時期が、今年7月から来年4月に集中する見込みだ。
「融資の返済が始まれば、潰れる飲食店が増えると危惧しています。国から賃金の向上も要請されていますが、飲食店はただでさえ、ギリギリの状況で経営しているので、賃上げどころではありません」
飲食店の経営は一般的に、売り上げに占める原材料費が30%、人件費が30%、家賃が10%、水道光熱費が5%、販促費が5%、借金返済や支払手数料などその他が15%で、最終的な利益が5%とされている。しかし、利益5%というのは優秀なほうだ。5%を下回る利益率で経営している飲食店も珍しくない。
加えて、昨今の国際情勢によって、売り上げに占める食材費の割合が30%~40%程度に増えている。こうなると、飲食店にとっては、利益水準をトントンに維持できるかどうかが問題だ。
「飲食業界がこの危機を乗り越えるには、やはり値上げするしかありません。本来であれば、価格を2割~3割は上げたいところです。ただ、決してやましいことではないのに、値上げは悪であると考える傾向があり、多くの飲食店はなかなか値上げできずにいます」
居酒屋などはほとんど値上がりしていない
ここ数十年の間、居酒屋などのカジュアルな業態であればあるほど、価格はほとんど上がっていない。
そこで日本飲食業経営審議会は、飲食店の値上げを後押しするため、2022年10月に「値上げに理解を」と訴えるポスターを製作し、飲食店に配布した。
ただ、一部の消費者からは、「協力金をもらったうえに値上げするのか」「便乗値上げではないか」とネガティブな反応もあり、理解を得るための道程は険しい。
髙橋氏は「飲食業界には、今日の営業で精一杯という経営者が多いです。経営的な視点で、この1年のことを考えていたとしても、3年先まで考えている経営者は少ないでしょう。長期的な視野が欠けているので、本来であれば値上げが必要なのに行えず、窮してしまっているように思います。こういった経営者のためにも、政治や経済の仕組みを学ぶ政経塾を月1回開催して支援しているところです」と語る。
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