迷惑行為に悩む「飲食店」を次々と襲う超難題 個人経営店での迷惑行為にどう対応すべきか

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飲食店の立場からすれば、迷惑行為を注意することによって、その客当人は当然のことながら、そこからつながる友人や親類、知人などに悪い影響が及ぶことを憂慮する。そのため注意もしづらいのが現状だ。

また、日本では飲食店に対する期待値が高い。味やサービス、食品衛生のレベルは高いにもかかわらず、飲食業界に携わる料理人やサービススタッフの地位も社会的に高いといえない。

こういった飲食店と消費者の“ズレ”を前提にしたうえで、髙橋氏は続ける。

「お客様は神様という言葉がありますが、よい神様もいらっしゃれば、あまりよくない神様もいらっしゃいます。したがって、こういった迷惑行為を防ぐには、カメラを設置するしかないのではないでしょうか。大手企業のチェーン店ではなく、個店であったとしても、カメラによる客観的な目が必要だと思います。スタッフを疑っているような感じになるので、私も店舗にカメラを設置したくありませんでした。しかし、防犯を考えるのであれば、こういった対応をするしかありません」

これまで飲食店は客から一方的に評価されてきたが、これからは、飲食店も客を評価する時代にきているのかもしれない。

外食マインドにも水を差す可能性も

食の安心と安全が脅かされれば、コロナ禍の2020年でさえ約18兆円の市場規模(日本フードサービス協会の統計)を誇った外食産業の価値が毀損される。せっかく訪日外国人の約70%が「日本食を食べること」を期待している(2019年、観光庁「訪日外国人消費動向調査」)のに、迷惑行為は外食マインドにも水を差しかねない。

「迷惑行為は、飲食店にとって非常に大きな問題です。毅然とした態度で臨むべきだと思いますので、(スシローが)被害届を出したのはよかったと思います」(髙橋氏)

飲食店が直近で対峙している課題は、ほかにもたくさんあるという。

食材費や光熱費の高騰、人材不足、外国人労働者の処遇、食料自給率、国や自治体との関係性など、数多くの難しい問題を抱えている。

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