ビジネス電波腕時計、10年で価格4倍のワケ 国内企業が見出した海外ブランドへの対抗策

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第2の波は世界対応だ。最初は日本だけだった電波の受信地域は米国、欧州各国へと徐々に増えていった。同時に、大きくて分厚かった本体を薄型・小型化。それに伴い価格も上昇していった。

価格上昇がいったん緩やかになったのは2008年ごろ。世界中で受信が可能になり、高付加価値化が一巡したためだ。

この時期の戦略は各社分かれる。シチズンは竜頭(りゅうず)で都市を合わせる「ダイレクトフライト」機能、カシオは秒針や分針を別々に動かして時刻を合わせる「スマートアクセス」機能で、それぞれ操作性を向上させた。セイコーは、2010年から売れ筋モデルを若年層向けの普及価格帯に変更。より広い層に販売する方針を取った。

GPS搭載で進化

そこに再び変動が起きたのが2012年だ。セイコーが他社に先駆けて発売したGPS搭載のソーラー腕時計が価格を大きく押し上げた。セイコーはこれを機に、GPS腕時計ブランドとして「アストロン」を新設。2014年に価格は20万円の大台に乗った。

セイコーに追随して、2014年にシチズンもGPSを搭載。カシオは同年、GPSに電波を組み合わせた世界初のモデルを投入した。

家電量販大手のビックカメラは、「購買層は機能を重視しており、機能がよければ高価格品も人気が出る。最近は20万円以上するGPS搭載モデルの売れ行きが好調だ」という。価格上昇の維持は各社の技術進化にかかっている。

「週刊東洋経済」2015年4月18日号<13日発売>「価格を読む」を転載)

渡辺 拓未 東洋経済 記者

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わたなべ たくみ / Takumi Watanabe

1991年生まれ、2010年京都大学経済学部入学。2014年に東洋経済新報社へ入社。2016年4月から証券部で投資雑誌『四季報プロ500』の編集に。精密機械・電子部品担当を経て、現在はゲーム業界を担当。

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