ジム・ロジャーズ「日本の食は今後、危なすぎる」 世界的投資家が見通す「食の安全保障」
こうした背景のなか、食料価格は高騰している。この状況が続けば、食料を入手できない人も出てくるだろう。国民の生活への影響は計り知れない。
日本の人口は、10年間ほど減少を続けているが、労働人口が減り続ければ、食料、そのほかの価格は今後も上がり続けるだろう。
過去を振り返ると、食料危機や食料価格の高騰をきっかけに暴動が起こり、崩壊してしまった国は多数存在する。主食であるコメの高騰が続いたとしたら、日本国民はさぞかし困るだろう。そのような状況にならないよう祈っている。
過度の保護主義をやめ、外国人労働者を雇え
では、どうすれば「食料安全保障」に関する諸問題を抜本的に解決できるだろうか。
たとえば、ブラジル、オーストラリア、アルゼンチン、ロシアなどの国が大量の農産品を輸出しているが、こういった国は広大な土地を保有しているので農地が潤沢だ。つまり最初から優位に立っている。
逆に、日本やシンガポールなどといった国土の小さい国が、土地を増やすことは難しい。こうした国においていちばん重要なことは、農家の保護主義をやめることだ。
日本は、主に次の2つの保護策をとることで自国の農家を守っている。
1つ目は、輸入食料に高い関税を課すことだ。
コメを例に挙げよう。外国産の安価なコメが国内に輸入されると、「より安価なものが有利」という資本主義経済の原理によって、価格の高い国産米は市場から排除されてしまう。
しかし、外国米の関税を高くすればどうなるだろう。相対的に国産米のほうが安価になり、国産米の需要が増える。なお、外国米にかけられる関税は280%である。
2つ目は、所得補償などといった経済的支援だ。当然、税金があてられる。
こうした過保護を見直すことが必要だ。
多くの日本人は、「日本米はほかの国のコメよりもずっとおいしい」と思っているかもしれない。しかし、日本品種はアメリカや中国でも生産されていて、中国産(日本品種)のコメの価格は、国産米の実に約5分の1~10分の1の価格で販売されている。これはすべての農作物にいえることだが、まずは安価でないかぎり、日本の農作物は国際競争力が低い。
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