ジム・ロジャーズ「日本の食は今後、危なすぎる」 世界的投資家が見通す「食の安全保障」
低迷する食料自給率が新たな危機を生む
皆さんもご存じのとおり、日本は食料自給率が低い。食料自給率とは、その国に供給される食料のうち、どれくらいの割合を国産が占めているかを示す数字で、分子を「国内生産」、分母を「国内消費志向」として算出される。
これは、小麦、大豆、牛肉などいろいろな品目ごとに算出されているが、肉類を国内で生産するために必要不可欠なのが、とうもろこしなどの飼料である。日本は、この飼料自給率も低い。
たとえば、牛肉を1㎏生産するために必要な穀物は、とうもろこしで換算すると11㎏、豚肉では6㎏、鶏肉では4㎏だ。これだけの量のとうもろこしを収穫するためには、潤沢な農地が必要であることは容易に想像できるだろう。肉類の安定供給を図るためには、外国産の飼料に頼りきりでは心もとない。食料安全保障上、これは非常に危ういことである。
食料安全保障とは、その国に住むすべての人が生命を維持し、活動的で健康的な生活を送るために、将来にわたってよい食料を適正な価格で手に入れられるようにすることで、これは国家の責務だ。
2022年、ロシアによるウクライナ侵攻が始まり、世界レベルで状況が悪化したことを受け、多くの国々が食料安全保障の重要性を再認識することとなった。
世界のなかでも、とりわけ日本は深刻な状況にある。もともと食料自給率が低いことに加えて、急激な円安なども重なっているためだ。
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