ハチミツ少量の「小さなハチ」に引く手あまたの謎 東南アジアに生息「ハリナシミツバチ」に迫る

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次第に、「ただそこらへんにいる昆虫」だと思われて重要視されていなかったハリナシミツバチの研究が進み、受粉に貢献していることや商業的に売れる程度のハチミツを作っていることがわかると、研究も教育もハリナシミツバチに注力するようになった。

こうした方向転換は、地元産業にとって良いことずくめだった。というのも、農業が全産業の25%を占めるフィリピンでは、1つの農家で一種の作物だけを栽培するモノカルチャーが盛んだ。

フィリピンでよく作られる農作物の受粉には、セイヨウミツバチよりもハリナシミツバチのほうがはるかに適しているため、農業生産を上げるのに打ってつけだったのだ。おまけにセイヨウミツバチは、フィリピンだと病気にかかりやすく養蜂の初期費用も非常に高額のため、なおさらだ。

マンゴーやアボカドなどの受粉に向く

「受粉係の体の大きさが花の大きさと合わないと花は上手く受粉されませんが、マンゴーの花は小さいのです。そして、ハリナシミツバチは、本当に小さい。ですのでマンゴーとハリナシミツバチは、良い組み合わせなんです。同様の理由で、ハリナシミツバチはマンゴー、アボカド、ランブータン、ココナッツ等の受粉に向いています」とセルバンシアさんは言う。

以前ハチプログラムの研究者たちは、マンゴーに関して2年かけて、マンゴーの花を最も効率よく受粉できるハチの種類を突き止める研究を行った。比べたのは、セイヨウミツバチをはじめとするさまざまな種類と、フィリピン原産のハリナシミツバチ。その結果、ハリナシミツバチが一番受粉効率が高いことがわかり、マンゴー農家がハリナシミツバチを買い入れるまでに至った。

今では、ココナッツやマンゴーのほかにも、世界中で需要が高まっているアボカドや、アジア諸国で人気の果物のランブータンなど、付加価値の高い果物の多くがハリナシミツバチによって受粉されている。ココナッツの場合、ハリナシミツバチによる受粉で80%の収穫量増につなげることができた。

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