近未来「コーヒーが飲めなくなる」が誇張でない訳 コーヒーの「2050年問題」の知られざる中身

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時代は進んで、2050年問題では世界的なコーヒー不足が懸念されるわけですが、現代ではさまざまな技術が研究・開発されています。品種改良の研究も進んでいますし、新たな種を見つけるための努力も行われています。知り合いの科学者には、「コーヒーをなくしたくないという意志さえあれば、なんとかなるだろう」と言う人もいます。

だからと言って、2050年問題を軽く考えるということではなく、起こるべき未来としてとらえ、コーヒーをなくさない努力を根気強く続ける必要があるのだと思います。

「よいものに適切な付加価値をつけて売る努力」

ただやはり、良質なコーヒーはこれまでのように「安く気軽に手に入るもの」ではなくなるかもしれません。コモディティコーヒーの世界でも努力は続くはずなので、低価格で高品質なコーヒーもなくなることはないと思いますが、いまほど手軽に手に入ることはないでしょう。

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人生観を変えるほどの素晴らしい品質のコーヒーを楽しみたいのであれば、相応の金額を支払うことが必要になるはずです。

日本はスペシャルティコーヒーがもっとも浸透している国のひとつです。コモディティコーヒーの製品レベルも世界トップクラスで、消費者がスペシャルティコーヒーに触れる機会も数多くあります。美味しいコーヒーにお金をかけることに対し抵抗感のない人が少なくありません。

日本スペシャルティコーヒー協会の調査によると、日本のスペシャルティコーヒーの生豆輸入量におけるシェアは約11%だそうです。

日本はオークションで世界最高価格で落札されたコーヒーや、世界中の品評会で入賞した豆を数多く輸入しています。海外のマーケットでは売れないような高価な豆を販売している日本は、視察に来た外国人にもよく驚かれるほどです。美味しいコーヒーを気軽に飲むことができる土壌ができたのも、熱意を持って奮闘してくれた先人たちのおかげであることは間違いありません。

だからこそ、これからの時代に求められるのは、「よいものに適切な付加価値をつけて売る努力」だと思っています。良質なコーヒーは今後収量が下がり、価格も上昇するかもしれません。だからこそバリスタは、高品質な原材料を素晴らしい技術、接客、空間演出をもって美しく提供する努力をしなければいけないと思っています。

既存の薄利を重ねるビジネスモデルではなく、いかに素晴らしい顧客体験を創造できるのか、という観点に立ってビジネスモデルを構築する必要があると考えています。その姿勢が、本質的なサステナビリティに直結すると信じています。

井崎 英典 第15代ワールド・バリスタ・チャンピオン、QAHWA代表取締役社長

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いざき ひでのり / Hidenori Izaki

1990年生まれ。2012年に史上最年少でジャパン・バリスタ・チャンピオンシップにて優勝し、2連覇を成し遂げた後、2014年のワールド・バリスタ・チャンピオンシップにてアジア人初の世界チャンピオンとなり、以後独立。現在はコーヒーコンサルタントとしてグローバルに活動。日本マクドナルドの「プレミアムローストコーヒー」「プレミアムローストアイスコーヒー」「新生ラテ」の監修、中国最大のコーヒーチェーン「luckin coffee」の商品開発や品質管理なども担当。

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