社内の雑談でも、いきなり相手のプライベートに踏み込まないのがマナーです。チームの女性メンバーが、「昨夜は飲みすぎました」と話してくれたとします。
「誰と飲んだの?」
誰でもこう聞きたくなりますが、それでは少し踏み込みすぎです。私ならば、「何を飲んだの?」と質問して、雑談を始めます。
「大学時代の友人と、日本酒を飲みました」
ここで、「相手は男性なの? 女性かな?」と聞いたのでは、何の意味もなくなります。
「どんな大学生活だったの?」
相手が「大学時代の友人」と自己開示してくれたのですから、その話に乗れば、女性メンバーの実体験を自然に聞くことができます。
②「ファクト」ベースの質問は意外に危険
日本のビジネスマンは、軽い気持ちで「大学はどちらですか?」とか、「こちらの会社の前は、どこにお勤めでしたか?」という質問をします。
こうした「ファクト」ベースの質問は、相手の気持ちにネガティブに刺さる可能性がありますから、もっと慎重になる必要があります。
希望した大学に合格できなかったことを、ずっと引きずっているビジネスマンは、どこの会社にも必ずいます。前の会社をリストラされたことで、忸怩たる思いをしている人もいるかもしれません。
いきなりファクトベースの話を持ち出すと、相手が気分を害することがあるのです。
「商社マンとして、何を大切にしているのですか?」とか、「銀行マンの仕事の醍醐味は、どのあたりにありますか?」という質問であれば、そのリスクはゼロです。単刀直入なファクトベースの質問ではなく、「価値観」ベース、「信念」ベース、「期待」ベースの質問を心がける気遣いが大切です。
「オフ」でもしてはいけない雑談
③状況を考えた雑談を心がける
日本のビジネスマンと雑談をしていて、「オン」と「オフ」の極端な落差に何度も驚かされた経験があります。
ビジネスの場では、当たり障りのない無難な雑談をしていた人が、飲み会の場になると、急に「ド直球」のプライベートな質問を始めたりします。
居酒屋などで隣に人がいても、何も気にせず、「ピョートルさん、日本の女の子は好きですか?」などと聞いてくるのです。衆人環視の状況で、こんな質問をされる人の気持ちを考えたことがあるのでしょうか? その無神経な振る舞いは、相手に対する信頼感を大きく揺さぶることになります。
「壁に耳あり、障子に目あり」とか、「油断大敵」という心構えは、ビジネスマンの基本中の基本です。隣に座っているのは、明日の新規獲得を目指す担当者かもしれません。自分のボスの友だちが向かいの席にいるかもしれません。
実際、私のグーグル時代の元チームメンバーが経営している会社に入社したばかりの2人が、隣の席であれこれと会社のウワサをしていたことがあります。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら